kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

「評価」と「批評」―『グローバル化時代の教育評価改革:日本・アジア・欧米を結ぶ』

大学院の授業で、田中耕治(編著)『グローバル化時代の教育評価改革:日本・アジア・欧米を結ぶ』(日本標準)を読んでいます。 今週の授業では、渡辺貴裕先生(東京学芸大学)の「英語圏における芸術教育の評価の新展開」(第3章第4節)を読みました。 芸術…

なぜ「J. T. リロイ」は存在し続けられたのか?ー『作家、本当のJ. T. リロイ』

ドキュメンタリー映画『作家、本当のJ. T. リロイ』を観に行きました。 『作家、本当のJ.T.リロイ』映画オリジナル予告編 映画『作家、本当のJ.T.リロイ』公式サイト J. T. リロイを巡る一連の事件については、事件発覚直後くらいに映画評論家の町山智浩さん…

ジョバンニとカムパネルラを追って~花巻市『銀河鉄道の夜』を巡る旅~

上野発の高速バスに乗って約7時間。岩手県花巻市に行ってきました。 花巻駅東口に到着したのは、午前5時20分前。駅前のトイレすら開いていない時間ではありますが、うっすらと明るい太陽の日差しさえあれば、ジョバンニとカムパネルラの足跡を追うには、…

2D映像表現の革命的試み―『ハードコア』

やりたくないと思っている仕事の準備を丸一日かけてやっていたら(?)、突然発熱するわ、腹痛が起きるわ、吐き気をもよおすはの非常事態に。「もうこれは無理!」ということで、気分を一掃するために、FPSアクション映画『ハードコア』観てきました! 4/1(…

海底広域研究船「かいめい」に限界芸術の継承を見る

JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)横須賀本部の施設一般公開に参加してきました。 はじめて参加したイベントだったので、展示の内容や規模などよくわからないまま、午後からふらっと参加してきたのですが…、そんな心構えではまったく全部見切れな…

芸術祭遺産の風景~「いちはらアート×ミックス2017」

今週のお題「ゴールデンウィーク2017」。 2017年4月8日(土)から5月14日(日)にかけて千葉県市原市南部エリアで開催されている「いちはらアート×ミックス2017」に行ってきました。 ichihara-artmix.jp 「いちはらアート×ミックス」は、2014年に第1回が開…

「心理カウンセリング」の名のもつパワー―ココロゴトcafe@渋谷

東京メトロ副都心線・東急東横線「渋谷」駅。 13A出口のエレベーターから地上に出て、右に曲がること徒歩1分(もかからない)のところに、「ココロゴトcafe」という、不思議な雰囲気のカフェがあります。 「ココロゴトcafe」とは、一般社団法人プロフェッシ…

ミステリアスでかわらしきものたち@丹沢大山

今週のお題「ゴールデンウィーク2017」。 丹沢大山に登山してきた記事の続きです。 kimilab.hateblo.jp 大山登山では、家族連れや、地域の子ども会かサッカークラブ(?)と思われるような集団(しかも母親がかなり体力に限界を迎えていて、子どものケアをす…

大山登山と山のキャパシティ

今週のお題「ゴールデンウィーク2017」。 山頂から富士山の見える山を多く有する神奈川県に引っ越してきてはや2年以上。 これまでまったく登山を経験したことがなかったので、「初心者・ファミリー向け」「子連れ登山」におすすめと噂の丹沢大山に行ってき…

本や雑誌がわたしたちに教えてくれるもの~アイデアを生み出すためのザッピング読書

大学で担当している演習授業「国語教育演習Ⅰ」では、毎年、国語教育・読書教育関連の学術雑誌を「乱読」「ザッピング」する活動を実施しています。 ザッピング読書に思いいたるまで 本や雑誌の「乱読」「ザッピング」には以前から関心を持っていたのですが、…

烏龍茶グラノーラを試してみました

「烏龍茶グラノーラ」なるものを購入してみました。 上野から御徒町にかけてあるアメ横商店街の一角に、ドライフルーツと木の実(ナッツ)を扱った「小島屋」という店があります。 小島屋では、自社ホームページや楽天ショップから、ドライフルーツやナッツ…

古代遺跡!戦争遺跡!廃墟!夢の競演エンターテイメント!~埼玉のカッパドキア・吉見百穴に行ってみた

「埼玉のカッパドキア」として有名(?)な吉見百穴に行ってまいりました。 古代遺跡の魅力 吉見町観光・見どころガイドによると、吉見百穴は古墳時代の末期に造られた「横穴墓」で、死者が埋葬された部分の構造も横穴式石室とそんなに変わらないらしい。 つ…

日本SFアニメは電気羊の夢を見るか?ー『ゴースト・イン・ザ・シェル』

『ゴースト・イン・ザ・シェル』、2D吹き替え版で見てきました。 字幕版は観ていないので、比較はできないのですが、少なくとも、予告編などで観た範囲の印象でいえば、この映画は吹き替え版で観るのが良いような気がします。 映画『ゴースト・イン・ザ・シ…

教員を目指す学生の皆さんに役立つかもしれない学習指導要領関係情報

新年度が始まってはや2週間。 ついに先週から、勤務校での授業「初等国語科教育法」もはじまりました。 すでにニュース等でご存じのお方もいらっしゃるように、今年3月末には、次期学習指導要領が公示されました。 「ICT Connect 21」のサイトでは、いちは…

高校生ウィーク アーカイ部「ひと・こと採集2017」

2017年4月9日。 早いもので本年度も水戸芸術館の「高校生ウィーク」が最終日を迎えるということで、今年も「高校生ウィーク」に参加された皆さまの生の声を、その場で「採集」すべく、カフェ会場(水戸芸術館現代美術ギャラリー内ワークショップ室)まで行っ…

『〈教師〉になる劇場』:教師教育×演劇のこれまでとこれから

ようやく、川島裕子(編)『〈教師〉になる劇場—演劇的手法による学びとコミュニケーションのデザイン』(フィルムアート社)を読み終えました。 学術書の中には、「これだけの人たちが集まってひとつの書籍の中に論考を収めていること自体がすごい!」と思わ…

インプロで遊ぶ、リフレクションと遊ぶ―インプロ×リフレクションの可能性

あるといいながある!横浜share's主催のインプロ×リフレクションのワークショップに参加してきました。 yokohamashares.hatenablog.com 上條晴夫先生によるレクチャーの後、インプロパーク・「すぅさん」こと鈴木聡之さんによるインプロワークショップ。 そ…

教育情報化のための政治的・法律的環境

先日、8月末に文部科学省初等中等教育局長から、各教育委員会に向けて「教育情報化の推進に対応した教育環境の整備充実について(通知)」と題した通知が発信されました。 ictconnect21.jp 本通知では、8月26日に中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部…

教員免許更新講習「やってみよう!国語科におけるICT教育」

本年度から、教員免許更新のための講習として、「やってみよう!国語科におけるICT教育!」という科目を担当することになりました。 小学校・中学校の先生方を対象とした講習で、「授業でICTを利活用すべし」という声があることも知っているし、なにか使って…

反転する「イチゴの日」-筒井康隆×いとうのいぢ『ビアンカ・オーバースタディ』-

2016年5月に、筒井康隆×いとうのいぢ『ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫) 』が文庫版で発売されました。 www.matolabel.net 『ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫) 』といえば、『ファウスト Vol.7 (2008 SUMMER) (7) (講談社MOOK) (講談社 Mook) …

クィアなテクストをクィア読みして「ストレート」にする―谷川俊太郎「きみ」―

昨年の夏頃、「児童文学におけるセクシュアル・マイノリティ」について考えたいと宣言し、その後、さまざまな方がたと、「児童文学における性(セクシュアリティ)」や「児童文学に登場するセクシュアル・マイノリティの描かれ方」についてお話する機会があ…

学習指導要領にインプロ的に応答する

「ジャパン・オールスターズ」の一員として翻訳を行った、キャリー・ロブマン&マシュー・ルンドクィスト(2016)『インプロをすべての教室へ 学びを革新する即興ゲーム・ガイド』(新曜社)が無事に発行され、本日わたしの手元にも書籍が届きました。 訳者の…

切符をなくした子供たちは都市ネットワークの夢を見るか?―北川貴好「地上階には、つながらない邸宅」

2/25(火)から3/1(火)まで東京・池袋エリアで開催されている回遊型の展覧会、北川貴好「地上階には、つながらない邸宅」に参加してきました。 池袋駅からスタートするこの展覧会。参加者は、SNSのメッセージのようなかたちでスマートフォン上に表示さ…

プログラミング言語の学習カリキュラムをどう組み立てるのか?―愛和小学校×Ludix Lab「i和design冬期講習会」より

きたる3/21~3/25に、NHKのEテレにて子ども向けのプログラミング学習番組『Why? プログラミング』が放送されるそうです。 先日、NHKにて、出演者の厚切りジェイソンさんによる取材会が行われ、その後、オンラインを中心に話題が広がっています。 www.oricon.…

わたしの言葉/わたしたちの言葉――横浜国立大学附属中学校研究発表会

先日開催された「平成27年度 横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校研究発表会」に参加してまいりました。 私が参加したのは、2日目(20日(日))に行われた国語科の研究発表。 国語科では「『ことば』への認識を協働的に育む指導と評価」というテーマ…

愛とは分け隔てること――趣向『The Game of Poliamory Life』

KAAT(神奈川芸術劇場)で行われた、趣向『THE GAME OF POLIAMORY LIFE』を見てきました。www.kaat.jp The Game of Polyamory Life 「ポリアモリー(Poliamory)」とは、合意のうえで、複数の人々と誠実な愛の関係をもつ恋愛スタイルのこと。・・・いや、恋愛ス…

わたしとわたしでないものをつなぐ「メディア」――東京学芸大学附属小金井小学校・校内研究授業――

東京学芸大学附属小金井小学校で行われた校内研究授業・研究協議会に参加して参りました。 www.u-gakugei.ac.jp 今回、私が拝見させていただいた国語の研究授業は、校内研究授業の最後の回にあたります。附属小金井小学校では、これまで年7回このような校内…

情緒的なつながりへの過剰な配慮について――アクティブ・ラーニングにおける人間関係――

大学院の演習授業の発表で、ある研修生の方が「協働学習」についての発表をしてくださったことがきっかけとなり、大学院生たちと、高等学校におけるアクティブ・ラーニングについての議論が行われました。 「高等学校におけるアクティブ・ラーニング」といえ…

襲いかかる記憶――「クリテリオム92 土屋紳一」作品制作

今年の2月20日から水戸芸術館にて開催される「クリテリオム92 土屋紳一」展の作品制作に協力するため、水戸芸術館まで行ってきました。 フィルム写真全盛期よりデジタル技術を用いた写真作品の制作に取り組んできた土屋紳一。本展では、カセットテープレコー…

動物たちの寒さ対策――埼玉県こども動物自然公園・2016年冬――

今週のお題「年末年始の風景」第2弾です。 2016年新春は、「暖冬」と呼ばれただけあって、なかなか暖かい陽気に恵まれましたよね。4月並の気温であるという話もあったとか・・・寒さに弱いわたしにとっては、とてもありがたいお正月となりました。 さて、そん…

初日の出と祈りの風景

2016年になりましたね。皆さま、あけましておめでとうございます。 今週のお題「年末年始の風景」ということで、初日の出の様子をご紹介したいと思います。「初日の出」というと、水平線の向こう側から日が昇ってきて、水面に太陽光が反射し・・・という写真で…

LGBT・セクシュアルマイノリティ教育のための学習リソース集@神奈川

NPO法人Re:Bitによる公開講座「LGBTの自立/就労を応援するためにできること」@横浜))に参加してきました。 LGBTとは、「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」の頭文字をとった総称で、一般的には、セクシュアルマイノリティを包括的に…

学校だからできること/学校だからできないこと――横浜レインボーフェスタ2015「大学生ディスカッション」

前回の記事に引き続き、「横浜レインボーフェスタ LGBT2015」についてのレポートです。 (イベント全体の様子については、ハフィントンポストに掲載されていたこちらの記事などをご覧ください。) 「横浜レインボーフェスタ」では、1日目と2日目に、大学の…

「アライ系腐女子」の生きる道――横浜レインボーフェスタLGBT2015――

「横浜レインボーフェスタ LGBT2015」に参加してきました。 【画像】横浜レインボーフェスタLGBT 2015 最速レポート - Letibee Life 【画像】横浜レインボーフェスタLGBT 2015 2日目 最速レポート - Letibee Life 実は、わたくし、「東京国際ゲイ&レズビア…

いつものご飯の喜び/架空のご飯の誘惑――ビブリオバトル@ゼミ

お題「秋の夜長に読みたい本」・・・ということで、先日、ゼミナールで開催した「ビブリオバトル」について報告します。 わたしのゼミは、今年の10月からスタートしたばかり。 ゼミへの参加を希望してくれる学生たちが気になっていること、やってみたいことを…

情報リテラシー教育の谷――RPG型図書館ガイダンス・プログラム「Libardry(リバードリィ)」

全国大学国語教育学会第129回大会(西東京大会)にて、「情報リテラシー教育におけるつながる学習(Connected Learning):RPG型図書館利用ガイダンス『Libardry(リバードリィ)』の試み」というタイトルで発表を行ってきました。(プログラムPDFはこちら)。 …

あなたがペニスをナイフにするのなら・・・――近藤史絵『あなに贈る×(キス)』

児童文学におけるセクシュアル・マイノリティを探るプロジェクト第5弾として、近藤史絵さんの『あなたに贈るキス (ミステリーYA!) 』を読みました。この作品は現在、新装版も発行されていて、そちらでは本作品の主人公のその後についての短編も読めるらしい…

一人称代名詞という主戦場――スーザン・クークリン『カラフルなぼくら』

私を呼ぶときの代名詞には、本当は〈彼ら〉を使ってもらいたいんだ。男と女の両方が自分の中にいると思うから。でもそれを理解できる人はほとんどいないので〈彼〉でいいよ。長い間ずっと〈彼女〉だったから、そろそろ交代してもいい時期だ。女子でいるのは…

ハーメルンの笛から逃げるための方法について――中島佑太ワークショップ展示@岡本太郎美術館

水戸芸術館現代美術センター・高校生ウィーク「大人部」、および、その後に行われた水戸のキワマリ荘でのトークイベント「よんでみる 11」でお世話になった、アーティストの中島佑太さんが、川崎市岡本太郎美術館の企画展「遊び ひらく 岡本太郎」展のなかで…

誰かのための住処/みんなの公共空間――DenchuLab.一般公開展示

東京都台東区・谷中霊園の近くにある旧・平櫛田中邸で行われたいた若手アーティストによる滞在制作「Denchu Lab.」の公開展示を見にいってきました。 ★若手アーティストによる滞在制作 | Denchu Days_Live Arts and Archives ★プレスリリース(PDF) 平櫛田中…

言葉への信頼を取り戻すために

9月19日未明に、参議院本会議で、安全保障関連法案が可決・成立したことを、9月20日以降、安保保証関連法案採決を実現するための政府与党による一連の手法や、「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」を中心とした安保保障関連法案への反対運動、こ…

「ビエンナーレさん」の憂鬱――中之条ビエンナーレと共生の諸問題

中之条ビエンナーレにいってまいりました。 中之条ビエンナーレは、群馬県吾妻郡中之条町で2007年より開催されているアートイベント。 中之条ビエンナーレが、2007年に第1回を開催した際には、参加作家数が58人で来場者数はのべ48,000人。予算も中之条町か…

生物のユートピア――遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』

「児童文学におけるセクシュアルマイノリティについて考える」ための読書プロジェクトの一環として、遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』を読みました。 www.shogakukan.co.jp 左から、単行本版、文庫版、マンガ版になります。 表だって「ヤングアダルト」を掲…

みんながいなければ、たどりつけない場所――ロクディムフェスティバル

第6回「したまち演劇祭 in 台東」のなかで開催されていた「ロクディムフェスティバル この瞬間を一緒に笑おう」に行ってきました。 ロクディムの皆さんとはじめてお会いしたのは、2011年。東日本大震災があったその年の秋のことです。当時わたしは、現代美…

英語の発音を学ぶための便利サイト&アプリ

今週のお題「いま学んでみたいこと」。 勤務先の大学で、ブリティッシュカウンシルよる法人・教育機関向けの英語セミナーを受講しています。発音からアカデミック・ライティングまでいろいろ学べる4回シリーズの英語セミナーで、本日は、発音について学習し…

「悪書」とされる児童書

本日、ニュージーランドで児童文学賞を受賞した作品が、発禁処分を受けたというニュースが報道されていました。 www.afpbb.com 問題となった作品は、先住民マオリの少年を描いたもので、少年は奨学金を得て名門寄宿学校に入学するものの、人種差別や薬物問題…

小学校教員資格認定試験の対策をしよう②~受験科目を選ぶ~

今週のお題「いま学んでみたいこと」第2段です。 さきほどの記事で「小学校教員資格認定試験」の基本編を書きました。その記事を見て、すこしでも「受けてみようかな?」と思ってくださった方のために、「小学校教員資格認定試験」を受験する際の成否をにぎ…

小学校教員資格認定試験の対策をしよう①~小学校教員資格認定試験について知る~

今週のお題「いま学んでみたいこと」。 …というわけで、わたし自身が「いま学んでみたい」わけではないのですが、小学校教員資格認定試験に合格するための対策や勉強法などについて、書いてみたいと思います。 一昨日から昨日まで、全国6大学で、平成27年度…

サロンパスのようなナプキン:川島誠「電話がなっている」

以前の記事にも書きましたが、児童文学におけるセクシュアルマイノリティの問題を考えていると、どうしても、児童文学におけるセクシュアリティの問題にぶつかります。 『だれかを好きになった日に読む本 (きょうはこの本読みたいな)』の中の「解説」にも、…

セカイ系児童文学――『だれかを好きになった日に読む本』

「本当にだれかを好きになった日に読んだら恋愛どころじゃなくなる本」との評判高い(?)現代児童文学研究会(編)(1990)『だれかを好きになった日に読む本』(偕成社)を読みました。 本の表紙画像を見て、「そんなおおげさな」と思われた方もいらっしゃる…