kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

「評価」と「批評」―『グローバル化時代の教育評価改革:日本・アジア・欧米を結ぶ』

大学院の授業で、田中耕治(編著)『グローバル化時代の教育評価改革:日本・アジア・欧米を結ぶ』(日本標準)を読んでいます。 今週の授業では、渡辺貴裕先生(東京学芸大学)の「英語圏における芸術教育の評価の新展開」(第3章第4節)を読みました。 芸術…

反転する「イチゴの日」-筒井康隆×いとうのいぢ『ビアンカ・オーバースタディ』-

2016年5月に、筒井康隆×いとうのいぢ『ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫) 』が文庫版で発売されました。 www.matolabel.net 『ビアンカ・オーバースタディ (角川文庫) 』といえば、『ファウスト Vol.7 (2008 SUMMER) (7) (講談社MOOK) (講談社 Mook) …

いつものご飯の喜び/架空のご飯の誘惑――ビブリオバトル@ゼミ

お題「秋の夜長に読みたい本」・・・ということで、先日、ゼミナールで開催した「ビブリオバトル」について報告します。 わたしのゼミは、今年の10月からスタートしたばかり。 ゼミへの参加を希望してくれる学生たちが気になっていること、やってみたいことを…

あなたがペニスをナイフにするのなら・・・――近藤史絵『あなに贈る×(キス)』

児童文学におけるセクシュアル・マイノリティを探るプロジェクト第5弾として、近藤史絵さんの『あなたに贈るキス (ミステリーYA!) 』を読みました。この作品は現在、新装版も発行されていて、そちらでは本作品の主人公のその後についての短編も読めるらしい…

一人称代名詞という主戦場――スーザン・クークリン『カラフルなぼくら』

私を呼ぶときの代名詞には、本当は〈彼ら〉を使ってもらいたいんだ。男と女の両方が自分の中にいると思うから。でもそれを理解できる人はほとんどいないので〈彼〉でいいよ。長い間ずっと〈彼女〉だったから、そろそろ交代してもいい時期だ。女子でいるのは…

生物のユートピア――遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』

「児童文学におけるセクシュアルマイノリティについて考える」ための読書プロジェクトの一環として、遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』を読みました。 www.shogakukan.co.jp 左から、単行本版、文庫版、マンガ版になります。 表だって「ヤングアダルト」を掲…

サロンパスのようなナプキン:川島誠「電話がなっている」

以前の記事にも書きましたが、児童文学におけるセクシュアルマイノリティの問題を考えていると、どうしても、児童文学におけるセクシュアリティの問題にぶつかります。 『だれかを好きになった日に読む本 (きょうはこの本読みたいな)』の中の「解説」にも、…

セカイ系児童文学――『だれかを好きになった日に読む本』

「本当にだれかを好きになった日に読んだら恋愛どころじゃなくなる本」との評判高い(?)現代児童文学研究会(編)(1990)『だれかを好きになった日に読む本』(偕成社)を読みました。 本の表紙画像を見て、「そんなおおげさな」と思われた方もいらっしゃる…

なんとなく性別越境したいボクら・その2

児童文学におけるセクシュアルマイノリティについて考えるため、引き続き、如月かずささんのYA文学『カエルの歌姫』(2011年)を読みました。 前回読んだ『シンデレラウミウシの彼女』は、講談社のYA! ENTERTAINMENTシリーズということもあり、装丁からし…

なんとなく性別越境したいボクら・その1

「セクシュアルマイノリティと児童文学について考えること」で書いた決意表明にしたがって、セクシュアルマイノリティが登場する児童文学・ヤングアダルト文学を読みはじめています。 まずはじめに手にとったのは、如月かずさ(2013)『シンデレラウミウシの彼…

セクシュアルマイノリティと児童文学について考えること

夏休みに入る直前に、ある学生と話したことをきっかけに、児童文学におけるセクシュアル・マイノリティの表象に興味をもちはじめました。 学校におけるセクシュアル・マイノリティの問題については、以前と比べればかなり広く認知されるようになってきている…

黒人女性ラップにおける対話―『ブラック・ノイズ』

2015年5月6日に、トリーシャ・ローズ(2009)『ブラック・ノイズ』の輪読会が行われました。 私は、第5章「悪女たち:黒人女性ラッパーと性の政治学」を担当したのですが、本章で行われている議論がとても面白く、私自身が、今後、サブカルチャーやポピュラー…

堀井憲一郎『いますぐ書け、の文章法』

読む人への徹底的なサービスとしての「書くこと」 大学院時代にお世話になった先生が、Facebookで紹介していたので、いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)を購入。ご紹介いただいた当時、さっそく書店に行ってみたところ、 新書の帯に、「文章は暴走する」と…

イリイチ『シャドウ・ワーク』を読みつつ年始まわり

2012年 新年のご挨拶 あけましておめでとうございます。ついに年が明け、2012年がはじまりましたが、 皆さま、いかがお過ごしでしょうか?私は、昨年末、12月28日〜30日まで、人生初めて金沢市を訪れ*1、 12月31日から元日までは実家で、個人事業主(大工)…

価値(バリュー)を作りつづけること

今週末は体力的にも精神的にも少し余裕があったので、 以前から読みたいと思っていた雑誌や本を少しかじり読みました。まずは事務所帰りに、『BRUTUS』2011年1・15日号(特集:本。2011年、「世の中」を考える175冊)からいくつかの対談記事を。BRUTUS (ブル…

「翻訳」という実践

翻訳 Translation 翻訳の実践は、言語的記号の恣意性に関する洞察(シニフィアンとシニフィエとの関係は必然的ではなく慣習的である)をこれまで長く裏付けてきた。しかし、それにもかかわらず、ある「外国」のテクストをまったく同じ意味で正確に訳すことが…

ゼロからすべてをつくる「いじめられっこ」の物語

ポール・フライシュマン・作/ケビン・ホークス・絵『ウェズレーの国』 久々に、絵本を買いました。 しばらく見ない間に、絵本というメディアの可能性は果てしなく大きく広がったものだと、本屋に行くたびに実感させられます。それは、けしてピアノやゲーム…

名士の娘たち

恩田陸『ユージニア』を読む。ユージニア (角川文庫)作者: 恩田陸出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/08/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (151件) を見る奥田英朗の『イン・ザ・プール』や『空中ブラン…

平安時代の恋愛スタイル

まだ日本が、ロマンティックラブ・イデオロギーに染まっていなかった頃、人々はどういうふうに出会い、仲を深めていたのだろう。それは、きっと今とはまったく違うものであるに違いない。そんなことが、妙に気になる。わたしは小学5年生のときに、平安時代…

「子ども中心主義」の隘路

いまさらながら、苅谷剛彦『教育改革の幻想』(ちくま新書)を読む。教育改革の幻想 (ちくま新書)作者: 苅谷剛彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2002/01メディア: 新書購入: 8人 クリック: 29回この商品を含むブログ (49件) を見るわたし自身の研究的立場…

パロディの生成

先日から読んでいる三浦しをん『ロマンス小説の七日間』(角川文庫)の中で、わたしの研究と関わってピピッとくる一節があった。 ロマンス小説は、結局のところ家族小説だ。ヒーローとヒロインが、いかにして幸せな家庭を築いたか、という話だ。これは私のた…

介護現場の混沌:阿部真大『働きすぎる若者たち―「自分探し」の果てに―』

阿部真大『搾取される若者たち−バイク便ライダーは見た!』(集英社新書)を、良質なエスノグラフィとして高く評価していたので、『働きすぎる若者たち―「自分探し」の果てに―』(生活人新書)を読んでみた。働きすぎる若者たち―「自分探し」の果てに (生活…