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kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

子どもがつくるオルタナティブ・マーケット

Form on Words≪ネクスト・マーケット「ジャングルジム市場」≫

「地域住民とのコミュニケーションに基づいて、地域の装いを“新たに”作り出す」ことをミッションに掲げたファッションブランド「Form on Words」(HP紹介文より)が、≪ネクスト・マーケット「ジャングルジム市場」≫で制作され、取り扱われた作品をインターネットショップで販売しはじめたようです。

★Form on Words 期間限定ネットショップ


「地域住民とのコミュニケーションに基づいて、地域の装いを“新たに”作り出す」ことをミッションに掲げたファッションブランドFORM ON WORDSは、2012年10月24日から28日にかけて、アサヒ・アートスクエアにて複合型イベント《ネクスト・マーケット「ジャングルジム市場」》を開催しました。

舞台となった東京の浅草エリアは、浅草寺雷門をはじめとする江戸文化の中心地であるだけでなく、30以上の商店街をもつ商業エリアであり、革や鈴、ビーズ、和裁の職人が集う街でもあります。

現状の商品を再解釈して提示しなおす、あるいは、現状にとらわれず通常の市場では今まで対象とされてこなかった人々や地域の要素と向き合いながら、「商品」を制作し発表しました。

遊び場と市場、舞台の三役を備えた巨大ジャングルジムには、FORM ON WORDSが手がける衣服や地域の子どもたちがデザインした商品、地元メーカー協力による普段は目にすることの少ない革の端切れやヒールの足などを使ったインスタレーション、飲食店などが並び、商品だけでなく多様な経験や物語が交換されていきました。
★Form on Words 期間限定ネットショップ

≪ネクスト・マーケット「ジャングルジム市場」≫では、ファッション・ブランドであるForm on Wordsが制作した「商品」とともに、浅草エリアのまちなかにある商店などの名前から、アーティストの西尾美也が抽出したキーワードをもとに、子どもたちがデザインし、つくりだした「商品」が混在して並べられ、売られていました。

「ネクスタ・デザイン工房」「ネクスタ・マスプロ工房」と名付けられたそれらの連続ワークショップによって制作された衣裳やアクセサリー。それらを紹介するファッション・ショーも行われました。
ファッション・ショーの様子は、以下のUstreamで、録画された映像を見ることができます。

★Ustream―Form on Words:ジャングルジム・ラジオ
※「01:01:00」あたりからがファッションショーの本番です。

印象的だったのは、こうしてデザインされ、つくりだされた「商品」に対して、子どもたちがある種の“誇り”を持っていたこと。

子ども向けワークショップで制作されたものが、「商品」として売られるということは、まずありません。
「作品」と呼ばれることもありますが、そこで子どもたちが作り出されたものの著作権をハッキリと子どもたちに帰属させることすら、あまりないような気がします。
ひどい話ですが、昨今増え続けている名ばかりの「ワークショップ」では、あたかも「工作教室」のように、最終的に出来上がるものの形態も、デザインもつくりかたも、ほとんどその企画者が指示してしまいます。その場合、できあがってくるのは、「作品」ですらなく、「作品の模倣」「作品の劣化版」に過ぎない。
それに対して、≪ネクスト・マーケット「ジャングルジム市場」≫において、参加する子どもたちはあくまで「商品」の「デザイナー」であり、「制作者」です。

ジャングルジム市場に並べられる「商品」たちを見て歩いていると、別の場所に置いてあった「商品」を持ってきて並べ替えるべく走り回っている小学生たちに出会います。

わたしが、ジャングルジムの2階部分にあがり、「ヘンシンバルーン(帽子)」のいくつかを見ていると、「ヘンシンバルーン(イヤリング)」をつけた、ある女の子が下から駆け上がってきて、なにやら「商品」を置いていきました。
彼女が並べていった「商品」を見て、「それ、自分で作ったの?ステキね。」と声をかけると、彼女は、「ううん。それは別の子がつくったんだけど、わたしのは1階にあるから。」といって、自分の耳についたイヤリングを見せながら、「これ、わたしが作ったやつ。1階にあるから。」といって、階段を駆け下りていきました。

1階に下りると、ジャングルジムの1階部分には、たくさんのスケッチブックが吊り下げられた場所があります。
そこには、「カリカリ東京」「ヘンシンバルーン」「スカイシップ」「時代屋」など、浅草エリアにあるさまざまな名前から抽出されたキーワードなどから、子どもたちがどのように「デザイン」をつくりあげていったのか、その夢とも妄想とも現実ともつかない思考のプロセスが描かれています。

スケッチブックだけを見ていると、「これ本当に実現したのかなぁ?」と疑問を持たずにいられません。それにも関わらず、しばらく歩いてみると、実際にそれが現実化した「商品」があったりして驚かされます。もちろん、スケッチブックに描かれていたコンセプトそのものが完全に実現しているわけではないけれど、幾度も解釈と翻訳を重ね合わせて、現実化されたカタチがそこにあったりします。

最終的に、わたしは「時代屋」のアクセサリーを購入いたしました。
紙袋は好きなものを選んで良いというので、「シャネル」の紙袋に入れていただきました。ぐっと高級感が増します(笑)


子どもたちによってデザインされたグッズも、冒頭で紹介した期間限定のインターネットショップで販売しています。
ショップ上では、子どもたちがどのような妄想&思考を経て、このデザインにたどりついたのかはわかりません。わかるのは、デザインの元になったキーワードと完成された「商品」のみ。
そんなキーワードと「商品」を見ながら、子どもたちの妄想と思考のプロセスを想像してみるのも、楽しいかもしれません。