kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

「食べること」にアプローチする速度

水戸のキワマリ荘で行われる不定期トークイベント「よんでみる 8」で、EAT & ART TAROさんの聞き手役として登壇させていただくことになりました。

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水戸近辺だと、EAT & ART TAROさんのことをご存じない方も多くいらっしゃると思いますので、今回のトークイベントの魅力をお伝えするため、今回の企画ができるプロセスについて少しお伝えしたいと思います。

 

今回企画を進めるなかで、「せっかくTAROさんに来ていただくのだから、トークだけでなく、来場する方が参加できるアクティビティがあると楽しいね」と いう話になりました。企画者のマイティさんはそのとき、たしかポットラック・パーティのようなものを考えていたのかな、と思います。水戸のキワマリ荘では よく持ち込みパーティのようなことも行われているし、「楽しそう」というイメージが共有されやすかったのかもしれません。

 

それに対して、TAROさんから提案があったのは(今回実現してますが)、ご来場いただいた方に、水戸のおすすめスポットを聞く、というもの。
TAROさんによると、水戸のことを知っていそうな方に「水戸のおすすめスポットってどこですか?」と聞いてみると、いろいろ考えた挙げ句に、「これといって特にないかな」というような返事がかえってくることが多いらしいのです。

 

私は大学院を出てから、つくば―東京―水戸とすみかをかえてきましたが、水戸に住むようになって間もない頃も同じことを思ってました。
水戸駅周辺のおすすめスポットを紹介するフリーペーパーの多さと対照的に、人に聞いてみたときの「これといって特にないかな」率の高さといったら、「なんなんだこれは!」と言いたくなるレベル。
こちらで勤めるようになって、健康栄養学科という名前の学科に所属するようになったので、その関係で、茨城県の食の現状などについてもお話をうかがう機会が多いのですが、どうもこれは水戸の問題ではなく、茨城県全体の問題らしい。
毎年、茨城県の食の広報を生業とされる方がゲストスピーカーとして大学にいらっしゃるのですが、今年はついに「みなさん!茨城県のおすすめの食材はこれだ!と言えるようになってください」と、そのことを一番伝えたい、とおっしゃっていました。

 

そんななか、「水戸のおすすめスポット」を聞きたい、というのはとてもよくわかるなぁ、と思う一方で、ご来場いただく水戸市民・茨城県民の方は「これと いって特にないかなぁ」民族なので、あまり「楽しそう!」と思えないかも・・・ということで、その場でみんなで実際に食べられる企画を何かやりたいなぁ、 と、さまざまな水戸の食情報をお伝えしたりしていたのでした。

 

わたしにとって、水戸の食の魅力はなんといってもスイーツ!(個人的な意見です)なので、「水戸はチョコレートの消費量が1位らしいですよー」「世界で1 位とったパティシエがいる店がありますよー」とかいろいろ個人的偏見でお伝えしていたところ、「チョコレートいいですね!」とい話になり、TAROさんが 板チョコ食べくらべをよくやっているらしい(!)ということで、今回のトークイベントにあわせて、板チョコ食べ比べ大会をすることになりました。

 

長くなりましたが、こういう日々、食べることや食に対して思っていることを、なにかの「かたち」にしていくその速度が、TAROさんの魅力のひとつなんじゃないかなぁ、と最近思います。


「速度」といったのは、それが特に「すごく早い」というわけではないから。それがステキだと思うんです。早すぎず、遅すぎず・・・なにかをみんなと一緒に つくったり、その時間を過ごしたりするための最適な時間というものがあって、そのことを、TAROさんはよく知っているような気がします。

 

茨城県でも、「食」に対してデザイン的なアプローチをするような試みはますます多くなりつつあります。それに対して、「食」にアートでアプローチするとい うのはどういうことなのか。これはきっと、今回の話のテーマのひとつになるんじゃないかと思いますが、それを考えるとき、TAROさんの時間に対して持っ ている感覚やそれとうまく付き合っていくための力は、きっと欠かせないものであるような気がしています。