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kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

いつものご飯の喜び/架空のご飯の誘惑――ビブリオバトル@ゼミ

お題「秋の夜長に読みたい本」・・・ということで、先日、ゼミナールで開催した「ビブリオバトル」について報告します

 

わたしのゼミは、今年の10月からスタートしたばかり。

ゼミへの参加を希望してくれる学生たちが気になっていること、やってみたいことを聞きながら、ゼミでの活動を考えていくことにしました。

そんなかたちではじまったゼミの第1回で、ある学生が自分のアルバイト先(おそらく、塾講師)での経験から、「ビブリオバトル」についての話題を出してくれました。

他の参加者に聞いてみたところ、どうやら、「ビブリオバトル」そのものを知らない学生も多く、ほとんどの学生は経験したことがないとのこと。

「では、なにはともあれ、まずはやってみよう!」ということで、みんなで「ビブリオバトル」をやってみることにしました。

 

今回のテーマは、「食」

 

ゼミナールのLINEグループを通じて、公式ルールをみんなに知ってもらい、ほかに何か質問があればその都度、聞いてもらうことにして、それぞれ準備を進めてもらうことにしました。

そんな感じで実現した「ビブリオバトル」のなかで、学生たちが紹介してくれた本をお示ししたいと思います。

 

まずはじめに紹介してくれたのが、よしながふみきのう何食べた?(1) (モーニング KC)』。

 



よしながふみさん自身が、糸井重里さんとの対談で、「食べもので、ゲイの人がいる話」と説明されているくらい、「食」がいろいろなドラマの中心に置かれている作品。

よしながふみさんの作品の多くには、「食」が重要な役割を果たしているものが多いのですが、これはまさにその代表作といえるでしょう。

よしながふみ作品における「食」については、こちらの論考(講演会記録)で、「食とジェンダー」の視点から分析されていて、大変興味深かったです。

 

青山友子(2010)「よしながふみのマンガに見る<食>とジェンダー」『比較日本学教育研究センター研究年報』

 

そして、よしながふみ作品で「食」といえば、こちらのエッセイマンガも外せないですね。他の作品と比べて評価のわかれるところもあるようですが、「よしなが作品における「食」の意味を考えるうえでは、外せない!」と個人的には思っています。

 

 

「食」といえばこれ!…ということで、2名もの学生が紹介してくれたのが、瀬尾まい子『幸福な食卓 』。中高生におすすめする本の定番品でもあるようで、「『食』をテーマにした本」ということで、他の人からおすすめされる定番といえば、この本のようです。

人生のなかで起こるさまざまなドラマのなかで、変わらずそこにあるものとしての食卓。戻ってくるための“拠り所”としての「食」が、そこには描かれているということなのでしょう。

 

3番目に紹介された、群ようこかもめ食堂は、まさに、そういう“拠り所”としての「食」の場をつくりたい、という思いが、見の丈にあったかたちでゆっくりできあがっていく話といえるかもしれません。

心の“拠り所”としての「食」は、奇妙なかたちで、それを取り巻く人間たちの関係をつないでいきます。

次に紹介された、有川浩植物図鑑』は、そんな「食」がつくりだす、人間たちのつながりを「恋愛」としてクローズアップした作品といえるかもしれません。

 

紹介されたときには、カバー裏や口絵に描かれたたくさんの野草の写真も紹介されたりして、まさに『植物図鑑』(!)という感じがしましたが、作品そのものは、有川浩さんらしい、ちょっと変わった恋愛ストーリー。

そんな物語を、「食」という視点から紹介しれもらったことで、また違った魅力が見れたような気がしました。…そうか『植物図鑑』は「食」の話でもあったのか。

 

「これも『食』?」と言いたくなるような本の紹介といえば、最後に紹介された、上原菜穂子『獣の奏者』。

 紹介してくれた方からは、ファンタジー作品である本作の中に出てくる、架空の食べ物の魅力について語っていただきました。

リアルには存在しない食べ物であるにも関わらず、なんだかおいしそうな、架空世界の食べ物たち。どんなものだかわからないこそ、ミステリアスな魅力にあふれていて、だからこそ余計に美味しそうに感じてしまう。…そういう気持ちはだれしも持ったことがあると思います。

 

九井諒子ダンジョン飯 (ビームコミックス(ハルタ))』は、なんだかわからないけど美味しそう!…と思ってしまう、ファンタジー世界の架空の食べ物へのあくなき欲望(?)をうまく掬い取ってくれたマンガだという気がしています。

 

 

今回のビブリオバトルではご紹介するチャンスがありませんでしたが、わたしが用意していた本は、「あの物語に出てきたあの食べ物が食べてみたい!」 という、わたしたちの夢を叶えてくれるレシピ本たちでした。

 

ひとつひとつ、見るたびに新たな発見と感動があり、いずれも選びがたかったので、今回は、ご紹介するだけで済んで良かったかもしれません。

 

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なお、今回のチャンプ本は、群ようこかもめ食堂でした!

わたしも、すでに映画は観ていたものの、ご紹介を聞いていたら、映画をみてから小説を読むのもステキだなぁ、と思ってしまい、即座に紹介者の方からお借りして読んでしまいました。

映画の美しさとはまた異なる、ゆっくりとした時間の流れるステキな小説でした。

 

すてきな本をご紹介いただいた、ゼミナールの学生の皆さん、本当にありがとうございました!