今年も、「TPPGフェス2019」が開催されます。
わたしは昨年度、「TRPGフェス」初参加!で、なぜか、口頭発表パネルの司会を務めたり、ノルディックLARP(政治・芸術的な教育LARP)「安心からの脱出」でNPCを勤めたりしておりました。
…が、なんだかんだで、今年も参加することになりました。
昨年度、口頭発表パネルのセッションを行ったメンバー4名(Björn-Ole Kamm (@BeOhKay) 、コミュゲ研(コミュニケーションとゲーム研究会) (@comgame2014) | の中の人、ⓔⓝⓘ (ツ) (@enicchi) 、そして、わたし)がセッション終了後にむちゃくちゃ盛り上がり、日本におけるアナログRPGに関する知見をグローバルな文脈で議論し交流することを目的とした日英バイリンガルの学術誌(オンライン・ジャーナル)を作ろうという話に。(昨年度の様子はこちら↓)
Björn-Ole Kamm 先生がリーダーシップをとるかたちでいろいろと手続きを進めてくださった結果、なんと今回の「TRPGフェス2019」で、そのオンライン・ジャーナル『RPG学研究』のキックオフ・シンポジウムを開催することになりました!
RPG学研究: Japanese Journal of Analog Role-Playing Game Studies
『RPG学研究』のトップページにあるとおり、このジャーナルは「日本のTRPG(テーブルトップ・ロールプレイングゲーム)やLARP(ライブ・アクションRPG)の意義や可能性について、グローバルな文脈の中で、研究者や実践家がともに議論しあい、その知見を発信していくことを目的としています。」
そのキックオフシンポジウムとして位置付けられる今回の口頭パネルでは、アカデミックな文脈でTRPG/LARPにかかわる研究者のみならず、ゲームを用いた活動の普及や、ゲームデザインにかかわる実践家にも、ご登壇いただき、より幅広い文脈で、日本のTRPG/LARPについての知見を交流し、議論ができればと思っています。
以下、今回の口頭発表パネルの概要です。
TRPGフェス2019トークショー
口頭発表パネル『RPG学研究への招待:アナログ・ロールプレイング・ゲーム・スタディーズ』
主催:ビョーン=オーレ ・カム(京都大学)、加藤浩平(東京学芸大学)
日程:未定(9/6~9/8に開催される「TRPGフェス2019」内で開催
企画趣旨:
日英バイリンガルの学術誌『RPG学研究』(Japanese Journal of Analog Role-Playing Game Studies)のキックオフ・イベントとして、TRPGフェスティバルでのアカデミックなトークセッション第2弾を開催します。
『RPG学研究』誌のコンセプトやその将来的なヴィジョンについて紹介するほか、教育学や心理学、社会学や図書館研究などの分野でTRPGやLARPを通じた研究・実践を進めている国内外の研究者・実践者が集まり、それぞれの活動について報告しつつ、RPGの新たな可能性を探ります。
◆発表1◆ 新しい学術誌『RPG学研究』―概要と目的
本誌では、日本のTRPGやLARPをはじめとした、非デジタル (いわゆる”アナログ”) のロールプレイング・ゲームの意義や可能性を、グローバルな文脈の中で探究し、その知見を発信していくこと目的としている。日英バイリンガルの査読付き学術誌である。テーマはTRPGやLARPなどのアナログRPGに関する理論的・実証的な研究のみならず、アナログRPGの教育的・政治的・診療的な応用についての研究など、幅広い領域が含まれている。また、研究論文のみならず、実践報告や、社会や教育の中でこれらのゲームを活用していくための資料やツール,アナログRPGについて幅広い情報提供なども歓迎する。
◆発表2◆自閉スペクトラムのある子ども・青年たちのTRPGを通じた余暇活動支援
自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもや青年(以下ASD児者)は、知的な遅れがなくても、社会的コミュニケーション、特に同年代との対人関係や仲間づくりや集団活動に困難を抱えるといわれる。発表者は、TRPGを通じたASD児者の余暇活動支援とコミュニケーション支援に長年取り組んでおり、一連の研究論文の中でTRPGを通してASD児者の対人相互作用や会話の維持・発展、また生活の質(QOL)にポジティブな促進が見られたことを報告している。またここ数年は、活動に参加してきたASD児者の中でゲームマスター(GM)を担当する青年たちも出てきている。当日のパネルでは、最近の研究の経過報告のほか、余暇活動の中で実施した「GM養成プログラム」に参加したASD児者の事例について紹介したい。
ルールブックの読み込みから始まるなど、TRPGは本(読書)と相性が良い遊びだと考えています。今回は実際に複数回に分けて中学校図書館でおこなったTRPG企画において、どのように子ども達の知的好奇心がTRPGによって刺激され、そしてそれを学校図書館がどのように発展させ、受け止めたか。という【中学校図書館でのTRPG企画の事例】をお話できればと思っています。また、私が教育の専門家ではないため、同席する先生方の感想や、一般参加の皆様からの意見など、様々な角度から議論が進むのを楽しみにしています。
◆発表4◆ TRPGの特徴と広がり、教育的活用について
保田琳
加藤浩平氏の研究論文に活用された『いただきダンジョンRPG』と他のTRPGとの要素比較、『みんなでダンジョンRPG』による短時間で多人数を対象としたTRPGの紹介、司会進行役(いわゆるゲームマスター、キーパー)とプレイヤーとの対話のやり取りによる意思疎通に注視した『Un Realistic Escape Game』やロールプレイを必要とせずに物語をつくる『サモンスケート』といったTRPGの要素を分解して再構成した作品から見えるTRPGの在り方について。また教育教材への援用の可能性についても触れたい。
■司会:Kimi Ishida
なお、『RPG学研究』発刊記念号(Issue 0)には、昨年度の口頭発表パネルで発表された内容にもとづく論考・記事が掲載される予定です。
こちらもぜひお楽しみになさってくださいませ!