kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

ささやかな感情の波に言葉をつける~ZENタイル

 以前、こちらのブログ記事にも書きましたが、だれか(何か)の助けを得ながら、自分の身体の状態を語るための言葉を見出すこと、それによって(自分自身に)どのような変化が起こるのかを感じとることに、興味があります。

kimilab.hateblo.jp

この記事では、ボディトークの施術について書きましたが、わたしがこのような関心からもうひとつ、自分自身 を支えるためのツールとして使っていたのが、『日本の神様カード』です。

 

『日本の神様カード』は、2012年に水戸芸術館現代美術ギャラリーで行われた「ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー─力が生まれるところ」展のときに、高校生ウィーク「書く。部」企画として、おみくじ型ギャラリーガイドを制作することになり、そのときに、神職の方にご紹介いただいたのがきっかけで知ったツール。

神社にある「おみくじ」よりも、いつも自分のいまを、ピッタリと象るような言葉を示してくれるので、絵柄もかわいいし、ことあるごとに使っていた、生きて考えるためのツールだったのでした。

 

でも、ここ最近、ひとつ困ったことが起きました。

『日本の神様カード』は、(わたしの中では)毎日引いて良いようなものではなく、生きていて苦しいとき、行き詰ったとき、どうしたらいいかわからなくなったときに、自分を整理するためのツールとして使っていたのです。

が、ここ数カ月間、日々いろいろなことが起きすぎて、一日の中で、嬉しいことと悲しいこと、絶望することのアップダウンが激しく、感情サーフィン状態。

自分の中でも、混乱してパニックを起こすことが多くなり、「毎日つかえるような、自分を整理するためのツール」がほしい!と思うようになりました。

そんなとき、SNSで、このブログでも紹介した「じっくりミレー」を開発したちゃがちゃがゲームズ・かわぐちさんが、「ZENタイル ソロ」という、自分の感情を見つめ整理することにフォーカスしたツールを開発していることを知りました。

chaga2.jimdo.com

調べてみると、NPO法人TEENSPOSTの八巻香織さんが今年世に出された気もちのリテラシー:「わたし」と世界をつなぐ12の感情』(太郎次郎社エディタス)を参考にされているということもわかり、「これは!」と思い、入手することにしました。

 

※なお、TEENSPOSTの「感情タロット*気持ちのリテラシー」はこちらから見ることができます。(感情タロット*気もちのリテラシー - teenspost)

 

まず1日目。月曜日に、その前日の日曜日(12/1)のことを振り返りました。

はじめてなので、ランダムに10枚のタイルをひいて、それを1日のタイムライン上に置いていきました。
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 この日は、大学院のOBの学生と、4月から大学院に入学予定の学生とが来てくれて、そこで他愛もないいろいろな話をして笑いあったりしたのがとにかく楽しかった。…のですがその一方で、その直前の時間帯に、学内学会の研究大会での懇親会のために、夕方(というか夜)寒い中、ひとりで全員分のドリンクと菓子類を、台車でガラガラもっていかねばならず…それが、しんどかった……。(こんな感じで、毎日感情のサーフィンが続いております)

 

2日目がこちら。
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 月曜日、午前中に自分にとってはかなり大きな事件が起きたので絶望の淵にいましたが、午後に大学に戻ってきて、学生たちと話してたらすっかり癒される…という単純なかんじです。

学生たちと話す時間は、本当に、救いです。わたしにとって。

 

3日目。この日の前日は風邪でダウンしてしまい、一日寝ていただけでした。

1日の感情のささやかな動きを丁寧に掬っていこうと思い、強く感じた感情はタイムラインから遠い位置に置くようにしてみました。
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 鬱になって、家から出らない経験をしたことのある方ならわかると思いますが、ネガティブな感情を抱く事件のあった翌日に、家に引きこもっていると、「恐怖」「嫌悪」の感情が渦巻いてきます。

だからさらに布団に入って寝込まざるを得ない、という状況。

「これは、いかん!なんとかせねば!」と思い立って、午後にいろいろやってみたら回復してきました。病状も良くなりました。よかったよかった。

 

4日目。専用の敷布を使うようにしてみました。

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この「感動」は、1日あけて大学に言ったら、そうにゃん×横浜国大コラボのストラップをもらった!というものです。その他は一日ネガティブな感情しか動かないという、なかなかしんどい一日でした。 

「笑」「楽」というポジティブなタイルも引いたのに、置けなかった……。なんというか、そういう1日だったんだな、と思います。

 

5日目。この日は、午前にも午後にもめいっぱい授業があった日だったのですが、おかげで、けっこうポジティブです。
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この日、「味」を引いて、「この感情は、動いていないな…」と思って気づいたのですが、わたしほとんど「美味しい!」って感情が動く日がない気がします。

この日もそのことに気づいて、ハッとし、このZENタイルを見て落ち込んだのを覚えてます。

 

わたしは、「ZENタイル ソロ」が届く前に、TEENSPOSTの「感情タロット・気持ちのリテラシー」のページの情報を見ていたこともあり、ポジティブな感情のみならず「怖い」や「不安」「疲れた」などのネガティブな感情も含めて、どのようなかたちで、自分と他の人々、自分と世界とをつないでくれるものとして解釈しうるのか、イメージが持てていたことが、とても大きかったです。

それだからこそ余計に、引いたにもかかわらず、思い当たる出来事がなくて、置けなくなってしまうタイルのことが気にかかり、自分のなかでそういう感情が動くことにセンシティブになろう、と思うきっかけになりました。

そして、もっとも大きかったことは、少なくとも「動かない感情に、もうちょっと敏感になろう」と思えるレベルには、感情のサーフィンに巻き込まれてパニックにならなくなったことが大きいです。

ネガティブなことしかなかった日も、「今、自分はこういう状況なのだから、無理しないでおこう」というくらいに受け止められるようになりました。

 

とりあえず1週間、自分で使ってみて、感情を掬いだしたり、自分の感情にセンシティブになるためのツールとして「ZENタイル ソロ」が使えそうだ、ということがわかったので、今度は自分が積極的に「感じる」ことのために使ってみたい、と思っています。