kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

見捨てられた街の「石」と「魔女」の物語~松本美枝子《海を拾う》

メゾン・ケンポクの『何かはある』 の一環として、2020年1月31日(金)~3月1日(日)まで開催されている、松本美枝子《海を拾う》を見てきました。 ホームページなどを見ても、あまり詳しい作品の説明がなく、フライヤーにも、「今回の展示では、日立の人、…

国際子ども図書館「絵本に見るアートの100年」展

昨日1日お休みをいただけたので、国立国会図書館国際子ども図書館で1/19まで開催していた「絵本に見るアートの100年―ダダからニュー・ペインティングまで」展に、すべりこんできました。 今年度から、横浜国立大学附属横浜小学校でいっしょに授業のお話など…

言葉の教育の研究者として授業研究に関わる~石川晋『学校とゆるやかに伴走すること』

先週末、ようやく、教員免許更新講習も終わり、ようやく「万が一、倒れてしまってもどうにかなる」というくらいの予定になってきたので、本棚に入ったまま、開くことすらできずにいた、石川晋(2019)『学校とゆるやかに伴走するということ』(フェミックス)…

アルプスワインの「にじいろ」ワイン

今年は、葡萄が不作であったせいか、11月3日の山梨ヌーヴォーの解禁日に新酒が出そろっていないワイナリーがいくつもあったようで、11月3日に行われた「第33回 かつぬま新酒ワインまつり」では、甲州やベーリーAの新酒が出ていなかったブースがいくつかあり…

書く。部@「アートセンターをひらく 第Ⅱ期」展

水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催されている「アートセンターをひらく 第Ⅱ期」。本プログラム内の「部活動」として開催されている「書く。部」に、「顧問」として参加しています。 アートセンターをひらく 第Ⅱ期 部活動|現代美術ギャラリー|水戸芸術館 …

ささやかな感情の波に言葉をつける~ZENタイル

以前、こちらのブログ記事にも書きましたが、だれか(何か)の助けを得ながら、自分の身体の状態を語るための言葉を見出すこと、それによって(自分自身に)どのような変化が起こるのかを感じとることに、興味があります。 kimilab.hateblo.jp この記事では…

「言葉する者(Languager)」になるための辞書あそび~「コレハヤ辞典」

今年度の大学院の授業「国語カリキュラム論演習Ⅱ」では、何回か、わたしが今、考えている言葉の教育のアイデアについて発表し、それに関わる活動なども入れながら、ディスカッションをしてもらっています。先週と今週は、2週間連続で、わたしが発表するター…

全国大学国語教育学会ラウンドテーブル「国語科教育における『読解力』を問い直す:リーディングスキルテストをめぐる議論を中心に」

2019年10月26日から27日にかけて開催された、全国大学国語教育学会仙台大会(プログラムPDF)では、2日目に「国語科教育における『読解力』を問い直す:リーディングスキルテストをめぐる議論を中心に」と題されたラウンドテーブルが開催されました。 ラウン…

文学者にまなび、あそぶ!現代メディアの文章表現~『メディア・リテラシーを高めるための文章演習』

酒井信(2019)『メディア・リテラシーを高めるための文章演習』(左右社)を読みました。 わたしが担当している「初等教科教育法(国語)」の中で、ある学生たちのグループが「炎上」をテーマにした模擬授業を考えたい! と言っていて、その学生たちと「どん…

「好奇心(curiosity)」と「質問をすること(Asking questions)」~Raquell Holms「STEAM教育へのパフォーマンス・アプローチ」

筑波大学東京キャンパスで行われた、「インプロサイエンス(Improvscience)」のRaquell Holms先生によるセッションに参加してきました。(以下、Dr. Raquell Holms「STEAM教育へのパフォーマンス・アプローチ」案内より) 「STEAM教育へのパフォーマンス・ア…

ノルディックLARPのミニゲームを体験しよう~『ノルディックLARP体験@TRPGフェス2019』

今年のTRPGフェスでは、日本RPG学研究会(JARPS)のメンバーとして、「ノルディックLARP(社会・芸術的な教育LARP)体験」のためのシナリオ翻訳や当日の運営サポートなどに関わっておりました。 今回の「ノルディックLARP体験」の中で紹介されたのは、フェミニ…

治癒のための言葉と、身体と言葉の間にある矢印~ボディトークと『身体(ことば)と言葉(からだ)』

体型や食べることへのこだわりが強く、ふつうに食べられない日が、1年以上続き、仕事や人間関係にも影響が出てくるようになってしまったので、「なんとかしなければ」と一念発起。「ボディトーク(body talk)」の施術を受けてみることにしました。 漢方や針…

見える/見えないの個性と偏りと~視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「セッション!」

「大竹伸郎 ビル景 1978-2010」展の企画のひとつとして開催されていた、視覚に障害がある人との鑑賞ツアー「セッション!」に参加してきました。 そのときに、「セッション!」ナビゲーターの白鳥建二さんがすでに、ノンフィクション作家の川内有緒さんたち…

やってみよう!TRPG型物語創作教材『物語の世界を旅しよう!』

昨年度、電気通信普及財団による助成研究「デジタルメディア社会における「情報活用能力」育成に向けた基礎理論の構築」(共同研究)(PDF)成果を踏まえたTRPG型教材の制作を遊学芸・保田琳さんに依頼し、2019年3月に、その成果物である『物語の世界を旅しよ…

パフォーマンス学習の場としての模擬授業をやってみた。

今日は、わたしが学部で担当している「初等教科教育法(国語)」の最終回でした。 「初等教科教育法(国語)」は、学部2年生対象の必修授業です。約240名を春学期2クラス、秋学期2クラスの計4つのクラスに分けて実施するのですが、現在はそれをすべてわたし…

TRPGフェス2019企画②:ノルディックLARP(社会・芸術的な教育LARP)体験

9/6~9/8に開催される「TRPGフェス2019」 の中でのJARPS(日本RPG学研究会)企画情報、第2弾です。 昨年度の学術LARP企画「安心からの脱出:Village,Shelter, Comfort(芸術型教育LARP)」(togetterによるまとめは、こちら)に引き続き、今年度も、ノルディッ…

TRPGフェス2019企画①「RPG学研究への招待:アナログ・ロールプレイング・ゲーム・スタディーズ」

今年も、「TPPGフェス2019」が開催されます。 trpgfes.jp わたしは昨年度、「TRPGフェス」初参加!で、なぜか、口頭発表パネルの司会を務めたり、ノルディックLARP(政治・芸術的な教育LARP)「安心からの脱出」でNPCを勤めたりしておりました。 kimilab.hateb…

議論のバトルフィールドにのみこまれる~ミキ・デザキ『主戦場』

ミキ・デザキ監督・脚本・撮影・編集の映画『主戦場』を見てきました。 www.shusenjo.jp 映画『主戦場』予告編 この映画は、すでに各種メディアが報じているように、この映画にインタビュイーとして出演しているケント・ギルバート氏(米国弁護士・タレント…

学校教科書で「音楽する(musicing)」~大谷能生『平成日本の音楽の教科書』

大谷能生『平成日本の音楽の教科書』 (よりみちパン! セ)を読みました。 あの(!)大谷能生さんが、平成時代の小学校・中学校・高等学校の音楽教科書のみならず、なんと平成元年(1989年)、平成10年(1998年)、平成20年(2008年)に改定されてきた学習指…

「物語の段階」を遊ぶ!~『じっくりミレー』と鑑賞教育

大学院の授業では、『メディア・リテラシーの教育(ことばの授業づくりハンドブック)』(奥泉香編、2015、渓水社)をテキストにしながら、主に、中学校・高等学校の国語科でのメディアを用いた言葉の教育や、メディア・リテラシーの教育について議論してい…

必要とすること/ギブを願うこと

以前、こちらのブログで、ニューヨークのカスティロ劇場で行われているプログラム「若者のための発達支援学校(Development School for Youth)」について、ご紹介しました。 わたしたちは、今回のイマージョン・プログラムの中で、カスティロ劇場での公演も…

文学×ゲーム×プログラミング!『ミッションメーカー:マクベス』パイロット調査版【終了しました】

3月下旬に、NPO法人ratikより、アンドリュー・バーン『19歳までのメディア・リテラシー:国語科ではぐくむ読む・書く・創る』を無料公開しました。 ratik.org 本書のまえがきにも書きましたが、著者のアンドリュー・バーン先生は、国語教育(English)、メデ…

インターン受入担当のための異文化間発達トレーニング~若者のための発達学校(Developmental School for Youth)

East Side Instituteのご厚意で、日本の研究者や実践家、学生のために特別プログラムとして開講された、3泊4日の「Immersion Program for Japanese scholars/students」(3/6~3/10)に参加してきました。 loisholzman.org 「Immersion Program」の名のとおり…

「リフレクション(省察)で教師は育つ!」@紀伊国屋書店新宿本店 イベント・レポート

紀伊国屋書店本店9階イベントスペースで開催された、「リフレクション(省察)で教師は育つ!~『リフレクション大全』『リフレクション入門』『小学校の模擬授業とリフレクションで学ぶ 授業づくりの考え方』刊行記念セミナー」に参加してきました。 www.k…

「映画を観る」経験を分解する~THE ピアノ&シネマvol.8『ロイドの福の神』

今年3月に横浜・ジャック&ベティで開催されていた、「柳下美恵のTHE ピアノ & シネマ vol.8「キートンのセブン・チャンス」「ロイドの福の神」」で、『ロイドの福の神(For Heaven's Sake)』を観てきました。 www.jackandbetty.net 柳下美恵のTHE ピアノ&シ…

『イン・ザ・ミドル』読書会

先日、横浜国立大学の研究室にて、「ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル』読書会 」を開催しました。 ナンシー・アトウェル(2018)『イン・ザ・ミドル:ナンシー・アトウェルの教室』( 三省堂) 読書会に参加してくださったのは、リーディング・ワーク…

【リレー企画】学生たちによる、ALPを用いた模擬授業の振り返り

【リレー企画】と題された、ロカルノさんのブログ記事「ALP(アクティブ・ラーニング・パターン)で研修しよう」「【リレー企画】ALPで授業の考え方を共有しよう」と、 それに続く、Yacchaeさんのリレー記事、「【リレー記事】ALPを使ったブログでの授業振り…

パフォーマンス学習の場としての模擬授業~渡辺貴裕『授業づくりの考え方』~

前の記事でも書きましたが、体調が万全に回復しないのを良いことに、自分のインプットのための時間を作っています。 その中で、教職課程での授業との関わり方について、静かに考えなおすきっかけをもらえるような2冊の本と出会いました。 1つは、C. A. ト…

ダークペダゴジーとしての評価を再考する~『一人ひとりをいかす評価』~

あまり体調が芳しくないことを良いことに、遠出するような予定はすべてあきらめて、家で、本を読んだり、映画を観たりしています。 おかげさまで、ようやく、インプットのための時間をとることができ、とてもありがたい。 もっともありがたかったのは、この…

言語学TRPG「ダイアレクト(Dialect)」で遊んでみた

Thony Gameの『ダイアレクト(Dialect)』のプレイ体験会を開催しました。 「ダイアレクト(Dialect)」とは、「方言」「通語・隠語」という意味。 日本語だと「方言」といえば、ほぼ、関西弁や東北弁などの「地域方言」しかイメージされないことが多いのですが…