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Literacy, Culture and contemporary learning

「いばらきデジタルコンテンツソフトウェア大賞2014<アプリ部門>」審査委員会に参加してきました!

「いばらきデジタルコンテンツソフトウェア大賞2014<アプリ部門>」審査委員会に、「常磐大学ゲーミフィケーション研究会」のメンバーとして参加してきました。

「いばらきデジタルコンテンツソフトウェア大賞」とは、「デジタルコンテンツやソフトウェア(アプリ)の企画や制作,募集等の機会を設けることにより,コンテンツやITへの県民の関心を高めるとともに,人材の育成や関連産業との連携等を通して地域の活性化を図る」ために実施されているコンテストで、「アニメ部門」についてはそれなりに長い歴史がある模様。
私たちが応募した「アプリ部門」は今年度からの開催ということで、関連イベントとして「アイデアソン」「ハッカソン」が実施されたりして、なかなか面白そうでした。

 

アイデアソン開催レポート[PDF]

ハッカソン開催レポート[PDF]

 

私たちは残念ながら日程があわず、これらの関連イベントには参加できなかったのですが、何回か研究会を重ね、アイディアを出し合ったり、それぞれに仕事を割り振って仕事を分担したりして、「アイデア部門」に応募するための企画を立案してきました。

 

 

私たちが企画したアプリは、茨城県北エリアの観光スポットを紹介する、恋愛シミュレーションゲーム「人外カノジョ」。
「人外カノジョ」では、茨城県南ゆかりの「人外」(妖怪、幽霊など)をモチーフにした女の子キャラクターを「カノジョ」にすることにしていたので、そのためのキャラクター候補を7つ考え、それらのキャラクターを学生たちにプレゼンして、「どのキャラクターが良いか」を学生たちに考えて意見をもらったり…

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いろいろ意見をいただいたうえで、最終的に、3つのキャラクターに絞ってもらったりしました。

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その後も、企画書に添付するための資料を作成するため、何回かミーティングを重ね、11月上旬に晴れて応募。11月下旬に書類審査通過のお知らせをいただき、今日の審査会に至ったというわけです。

 

なにしろ「アプリ部門」の開催そのものが初めてだったので、審査委員会がどのような雰囲気なのか、審査委員からどのようなコメントがあるのかもまったくわからないまま参加した私たちでしたが、審査委員の皆さまからは、予想以上に、具体的な実現に向けた、細微にわたる質問やコメントをいただきました。

 

今回わたしたちが提案したアプリのアイディアに対していただいた質問やコメントには、次のようなものがありました。今回行われたやりとりの一部を紹介します。

 

Q 「カノジョ」のキャラクターのモチーフは、つくば市土浦市牛久市由来の「人外」ということだが、県南ゆらいの「人外」がモチーフとなると、県北のアピールにつながらないのではないか?

A  主人公のほうが県北のほうが詳しいという設定である。県北の妖怪にした場合、彼女たちのほうが県北の情報に詳しくなってしまう。

Q 「好感度」はどのようにアップしたりダウンしたりするのか?


A 「カノジョ」との会話のなかでアップしたり、ダウンしたりする。たとえば、「カコ(牛久沼の河童をモチーフにした女の子キャラクター)は、子どもの好きそうな場所や水に関係する場所を好む設定なので、お酒を飲むようなナイトスポットをすすめると「好感度」は下がる。逆に、「カヌー体験」を紹介すると「好感度」がアップする。
それぞれのキャラクター性に応じて、「好感度」が上がりやすい観光スポット、下がりやすい観光スポットがあるというゲーム設定である。

Q ゲームとしての楽しみ方を考えると、彼女たちのキャラクターから、だいたい「好感度」が上がるスポット/下がるスポットの予想がついてしまうのではないか?どこかでプレイヤーにとって「意外性」になるような工夫があったほうが良いのでは。

A 「意外性」をどのように盛り込むかについては、おそらく、シナリオが重要になってくるのではないか。
シナリオの段階で、「意外性」などが出していければ良い。そのような意味では、シナリオライターとの打ち合わせが重要になってくる。

Q  メッセージはどのくらいの頻度でやりとりをするイメージなのか?

A  1日に3回くらいやりとりをし、1週間程度でゲームクリア/ゲームオーバーとなるイメージである。

Q  メッセージは自分で投稿できるのか?
A  プレイヤーがメッセージを自作するのではなく、提示された選択コマンドからメッセージを選ぶというイメージである。

Q  (このゲーム・アプリの)コンセプトが好きである。観光地というのは、実際にその場所行ったあとにその魅力に気が付くことが多い。また、キャラが立っていてすごく良いと思う。
そのうえで質問したいのは、このゲームをやっていくと何が達成されるのかという点。プレイヤーにとっては、何がモチベーションになるのか。女の子をおとしていくこと、コレクションしていくことなのか?

A 女の子をおとしていくことである。また、女の子をおとしていく過程で、茨城県北の観光スポットについて知っていくこともモチベーションにつながるのではないか。

Q このゲーム・アプリに、チェックイン機能をつけてはどうか。「カノジョ」たちを実際に現地に連れていくことで、好感度のポイントがさらに上がるような仕組みにすれば、プレイヤーが現地に行くようになるのではないか。

A  GPS機能と連動させて、その場にいくとポイントがつくような仕組みも考えてみたい。

 

このような巧みなやりとりをしてくださった、我らが部長(「ゲーミフィケーション研究会」だから「会長」になるのでしょうか)にはあらためて拍手を送りたい気分です。


「アイデア部門」の発表には、このほかに「水戸だけじゃない!県北の納豆再発見」をテーマに、最高品質の納豆をつくることを目指した、納豆育成(?)ゲーム「納豆品評会」や、物語をすすめながら気軽に茨城県北を旅するアプリ「びすたっち」(「Vista」(景観)+「常陸」=「びすたっち」…だそうです)の発表がありました。

「納豆品評会」は、①品種を選ぶ(ポイント:品種選択)→②発酵を待つ(ポイント:温度調整)→③納豆ができる→④提出(ポイント:提出タイミング)→⑤品評会に提出→⑥点数がつくというプロセスのゲームで、そのイージー&ライトなとっかかりやすさが評価されていた印象です。


「びすたっち」は、高校生によるアイデア作品(すごい!)。
オンラインとオフラインを往還しながら、茨城県北に観光客を誘致しようとする壮大なプランは、現実性という意味では難しいところもありましたが、「歴女」の視点から、県北観光の新たな楽しみを提案しようとする意欲に、とても共感するところがありました。

今回参加してみて、さまざまな年代のさまざまな趣向の人たちが集まり、それぞれの思いやアイディアを聞きあう場はすごく楽しいなぁ!と思いました。

「アプリ」は、個人の小さなアイディアや思いを具現化してくれるもの。
だからこそ、「アプリ」という切り口で、これだけさまざまな趣向や年齢の人たちが集まれるのかもしれません。
今回の<アプリ部門>のテーマは、「県北地域を再発見、楽しむためのアプリ」親子三世代の絆を深めるアプリ」だったので、全体的に、まちづくり・地域活性化につながるようなアイデア・作品が多かったのですが、それでも、まちづくり・地域活性化のための政策提言や、地域資源の利活用提言のコンペティションとはまったく異なる質の場がありました。

ヴィジョンに対する、具体的なアプローチを議論できる……そういう場の質といえば良いのでしょうか。

つい、MITメディアラボの所長たちが残した名言を思い出してしまいます。

「デモしろ、さもなくば死(Demo or Die)」(ニコラス・ネグロポンテ
「展開しろ、さもなくば死(Deploy or Die)」(伊藤譲一)

Deploy or Die(デプロイせよ、さもなくば死を) | Tech Planterブログ