「埼玉のカッパドキア」として有名(?)な吉見百穴に行ってまいりました。
古代遺跡の魅力
吉見町観光・見どころガイドによると、吉見百穴は古墳時代の末期に造られた「横穴墓」で、死者が埋葬された部分の構造も横穴式石室とそんなに変わらないらしい。
つまり、古墳時代末期につくられた集団墓地ということでよろしいでしょうか…?
この穴のひとつひとつが、すべて墓だったと考えると、なかなか感慨深いものがあります。
戦争遺跡=軍需工場跡地としての魅力
あまりに穴が多いので、そのカッパドキアっぷりにばかり着目されがちな吉見百穴ですが、それだけではありません。
吉見百穴のあたりは、昭和19~20年に地下軍需工場として利用されていたこともあり、穴の中に一歩足を踏み入れると、そこには突然、地下要塞のような風景が!
「軍需工場跡・ヒカリゴケ | 観光地 | 吉見町観光・見どころガイド」を見てみると、この軍需工場、作られ方がすごい。
ダイナマイトを使用しての工事であったが、地下施設工事に適した凝灰質砂岩の分布は百穴と岩粉山付近でしか認められず、松山城下には第三紀層の固い岩盤があり落盤が起こりやすく、百穴と岩粉坂の中間は山が低いので掘削に適さず工事は難航したと言われている。また、この工事は設計後の図面に基づいて実施しているわけではないので、工事を進めながら設計を進めるという作業であった。そのため掘削しては測量し、高低や方向を修正していたと言われている。
「工事を進めながら設計を進める」!!
すごいですね。
インプロヴァイズド・ラーニング(即興的な学習)ならぬ、インプロヴァイズド・ビルディング(即興的建築)!
人間にとって建築とは何かを、あらためて、考えさせられます。
岩室観音
吉見百穴の近くには、「岩室観音」という古くてディープそうな寺があり、B級スポットマニアの心をくすぐります。
お堂の建築物内外に岩室が広がっており、そこには多数の石仏が。
さらにお堂の裏手に進むと、「胎内くぐり」の入り口と思われるハート型の穴が…!
この日は足場が悪いのでさすがに挑戦できませんでしたが、次回行くときはこの胎内くぐりがどこに続いているのか…知りたい気持ちがやみませんでした。
岩窟ホテル
そして…わたしもここに行くまで知らなかったのですが、心霊スポットや廃墟、またB級スポットとして名高い(らしい)岩窟ホテル!
たしかに、このあたりだけ、客をもてなすために植えられたような草木があったりするので、何か施設があったのかな…?というかんじはあるのですが、まさかホテルがあったとは!
しかも、岩窟ホテル!
しかも、岩を掘って部屋をつくりそこに客を泊めるという斬新な発想!
なんていうか…一言でいうと、「泊まってみたかった」。
…というわけで、埼玉県吉見町の吉見百穴周辺は、かなり見どころが多いエンタメ地域であると思いました。
みんなが穴を掘りたくなって、掘る。そしてみんなの堀った穴、穴を掘りたい欲望がが文化を作り、それがさらに現代に残る遺跡(や廃墟)を作っている地域というのもステキです。
古代から現代まで、「穴を掘りたい」と思い「穴を見たい」と思う共通の心性(?)のようなものを感じます。