『ゴースト・イン・ザ・シェル』、2D吹き替え版で見てきました。
字幕版は観ていないので、比較はできないのですが、少なくとも、予告編などで観た範囲の印象でいえば、この映画は吹き替え版で観るのが良いような気がします。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』 BUILDING-JUMP 本編映像 4分45秒
日本のアニメーション映画として制作された『攻殻機動隊』の実写版なんだから、アニメ版と同じ声で観たい!…というのがもともとの動機でしたが、それ以外のところでも、「これは字幕版で観たら、違和感があったのでは?」と思えるところがいくつかありました。
ビートたけし演ずる荒巻が、電脳通信以外でもふつうに、日本語で話すので、これはさすがに会話のやりとりとして見ると違和感があったんじゃないか、
とか、
草薙素子が「少佐」でなく「メジャー(major)」と呼ばれるのには耐えられなかったんじゃないか、
とか、
そんな細かなことばかりなんですが、それでもやっぱり気になる人には気になると思うんです。
映画そのものについては、『ブレードランナー』の世界観発展系とも見えるようなSF的な都市の描写や、同作品の中で展開されて板「人間とは何か?機械とは何か?」という哲学的な問いが、『攻殻機動隊』に舞台を変えて展開されていて、とてもエキサイティングでした。
Blade Runner 30th Anniversary Trailer - YouTube
原作映画にあたる『攻殻機動隊』に比べて、少佐に感情がありすぎるという批判や、ホワイト・ウォッシュ批判など、いろいろな批判もあるようですが(例えば、こちら)、独立したひとつのSF映画としてはよくまとまっているし、現代のVFXを駆使した映像は非常に甘美ですらありました。
映像に関していえば、全体的に『攻殻機動隊』よりも、ビジュアル・ドラッグな感じがあり、どちらかというと、筒井康隆原作のアニメーション映画『パプリカ』を思い出しました。
全体的に、『攻殻機動隊』の米国実写版として観るより、『ブレードランナー』日本版(日本のSFアニメーションの舞台を借りた『ブレードランナー』?)みたいな印象を持つのは、私だけでなんでしょうか…?
そのような作品なので、『攻殻機動隊』として観ようとすると、「攻殻機動隊の世界観の肝がわかっていない!」と批判したくなることは必至です。
でも、おそらくこれは、『鉄腕アトム』からずっと、機械と人間との共存のありかたを考えてきた日本のSFアニメと、機械と人間との戦いや覇権争いの中で「人間とは何か」という問いを突き詰めようとしてきた、あるひとつのSF映画的な伝統との相違に由来するのかもしれません。