今回、東京ゲームショウに初参戦して、わかったことがたくさんありました。
東京ゲームショウについては、毎年、マスコミでも多く取り上げられているのですが、ニュースの焦点は、ほぼ来場者数の多さと、コンパニオン&コスプレイヤーのレポ。
なんだこれ、と思って、毎日新聞の「東京ゲームショウ」特集ページまでたどってみたら、ほぼコスプレイヤー・レポでした。
そんなわけで、試遊ソフトのおすすめが書かれている記事を見つけるのが、大変なくらいです。「東京ゲームショウ」とは名ばかりで、もしかしたら、だれもゲームをプレイすることには関心がないんじゃないかと思ってしまいます。
そういう事情もあって、「ゲームは好きだけど、東京ゲームショウには興味がない」という状況が長らく続いておりました。…きっと、そういう人は、わたしだけではないと思う。
…でも、それは一面的な見方でした。
幕張メッセ貸し切りで行う、日本最大…いや、アジア最大のゲーム・イベントです。大手ブースの新作にはほとんど興味を持てないわたしの心をグッとつかんでくれるインディーズ・ゲームたちもあれば、「誰がそんなものを作れといったんだ!」とつっこみたくなるくらいよくわからないものを作っている、エッジのきいたゲーム制作者たちもたくさんいます。
こちらのニフティニュースは、「2分でわかる「東京ゲームショウ2018」に見どころ」というタイトルで、最後に「インディーゲームコーナーは曲者揃い!? 」とかいう記事をもってきちゃうあたり、なかなか、ステキです。
そんなわたしにとって、面白かったコーナーのひとつが、自分自身も出展していた「ゲームスクールコーナー」でした。
「ゲームスクールコーナー」は、その名のとおり、ゲームについて学ぶことのできる専門学校や大学(学部・学科)が広報のために来ているようなブースも多いので、多くの方々はスルーしていってしまいます。
だけど、
「ゲームスクールコーナー」は、それだけじゃない!
専門学校や大学による研究成果展示のためのブースもあって、そちらはむしろ、ゲームの未来を感じさせてくれたり、奇抜なアイデアを感じさせてくれたりするので、「体験しない手はない!」というかんじです。
日系トレンディのページでも記事になっていたようなので、そちらでは触れられていないおすすめをご紹介したいと思います。
1.長野大学(企業情報学部 田中ゼミ・望月ゼミ)
1コマのブースの中に、複数のVRシステムを持ち込んでいた長野大学。
特に、コックピットでの操縦が体験できるVRシステム(自動車の廃車を利用しているところが、またステキすぎる)は、一般デーには人気がありすぎて長蛇の列になっていたようです。
【企業情報学部】東京ゲームショウ2018 出展報告:田中ゼミ、望月ゼミ | ニュース&トピックス:長野大学
ロボット・アニメーションへの熱すぎる思いを感じざるを得ないコックピットVR。
廃車を利用したハードといい、妙にアナログ感の残る操作性といい、昔なつかしいロボット・アニメ「ビッグ・オー」を思い出してしまいました。
2.湘北短期大学(総合ビジネス・情報学科 高木ゼミ)
東京ゲームショウという、にぎにぎしい場のなかで、「同人誌即売会か、ゲームマーケットか」と言いたくなるようなアットホーム感をかもしだしている、湘北短期大学高木ゼミのブース。
わたしがはじめにブースに立ち寄ったときには、卒業生がいらっしゃっていて、ブースに入ることができなかったのですが、「三顧の礼」(!)とばかりに、3回訪れてみたところ、実際に展示されているカードゲームをプレイすることができました。
こちらは、高木ゼミで開発したというカードゲーム「めざせ!卒業」!
ブースにいらっしゃった高木先生と2人でプレイしてみたところ、協力ゲームのはずなのに、協力しきれず…ほとんど単位がとれませんでした。
単位を落とさないって難しい…。そんなことが体験できるカードゲームです。
高木ゼミで開発されたアナログ・ゲームは、下記のサイトで通販で購入できるほか、「ゲームマーケット」でも販売されるようです。
「ゲームスクールコーナーに行こう!」というタイトルで、「ゲームスクールコーナー」以外のブースを紹介するのは、いかがなものかと思いますが、大学の研究成果の展示が見られる面白さをアピールしたいので、こちらもご紹介しておきます。
日本大学生産工学部数理情報工学科・古市研究室による、シリアスゲームの展示です。
こちらのフライヤー画像にもあるように、こちらのゲームは、「ニュースターズコーナー(東欧/ラテン/アジア)」のオランダ大使館のブース内で展示が行われていました。
ブース内で配布されていたオランダで開発されたゲーム紹介のフライヤーでは、英語学習を目的としたシリアスゲーム「FishyFishy!」のiOS版は以下のiOSサイトからフリーダウンロードできる模様です。
ちなみに、わたしは本ブースで、英語学習を目的とした脱出ゲーム「Discovery!」を体験させていただきました。
黒板に書かれている指示にしたがって、教室内にあるアイテムを探し出し、それを発見することで教室から外に出られるというゲームなのですが、単に、黒板に表示された単語を発見するミッションからはじまり、次には、黒板に書かれたヒントをもとに推測していくアクティビティになったりと、英語を理解していくことへのステージングが考えられている点、それが脱出ゲームと組み合わされているという点が興味深かったです。
日本大学・古市研究室の皆さんには、わざわざ、「常磐大学ゲーミフィケーション研究会」のブースまで足をお運びいただいたようで、日本デジタルゲーム学会での発表も勧めてくださったようです。ありがたい限り。このようなネットワークが広がっていくのも、東京ゲームショウならではですよね。
大学や専門学校が「ゲームスクールコーナー」に出展することの意味は、このようなところにもあるのかしら、と思ったりいたしました。
以前から見ると、ここではじめて発表される新タイトルってほぼなくなってるよね、権威失墜してるよね…と、海外のニュースメディアで指摘されてしまっていたりもする「東京ゲームショウ」ですが、そういう意味では、より多様で豊かなゲームの可能性を示していったり、ゲームの未来をもっと面白くさせるようなネットワーキングの構築をねらっていくという方向性のほうに、可能性を感じます。
そういう意味でも、引き続き、ゲームスクールコーナーでの出展に注目していきたいし、自分でもそこにどう面白い関わりができるかを考えていきたいと思っています。