kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

ネットワークを遊ぶ/ネットワークで遊ぶ―「39アート in 向島2018」

2018年3月1日~3月31日まで開催している「39アートin向島2018」に行ってきました。

「39アートin向島」とは、「サンキューアートの日」に地域で参加しているプログラムのひとつ。「39アートin向島」が始まったのが、2010年3月ですので、今年でもう9回目を迎えることになります。

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墨田区押上に、東京スカイツリーがグランドオープンしたのが、2012年5月。

「39アートin向島」は、東京スカイツリー建設中から、そのオープン、そしてその後の展開を見守りながら、地域の人たちとともに展開してきたプロジェクトということになります。

その間、この地域のもつ意味も、そこに住んだり働いたりする人たちの層も大きく変化してきました。

新たな観光客や住民に向けたカフェなどがオープンし、「39アートin向島」にもたくさんのカフェが参加しています

 

そのような中、墨田区京島エリアにあった長屋の取り壊しが決定し、その立ち退き期限である3月31日までの間に、取り壊しの決まった長屋を使用した展示や、そこでの様々なプロジェクトが展開されていたり(京島長屋82日プロジェクト)、

hyperconcreteness.tumblr.com

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一方で、そのような街の変化のなかで残された活気ある商店街の中で、商店街とコラボレーションした展示があったり、

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時代や社会の変化、都市構造の変化によって変わりゆく街と人々との関わりを、様々なプロジェクトが、それぞれに異なった切り口で、見せてくれる様が面白い、とあらためて思います。
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そんな中、今回は幸運なことに、関わってきた期間は異なれど、このエリアでさまざまなプロジェクトを展開してきたお二人とガッツリお話する機会を持つことができました。

その中で、現在このエリアに新たに登場しつつあるキーワードとして、「遊び(play)」というキーワードが挙げられたのが、非常に面白かったです。

 

実際、お二人とのディスカッションのあと、「39アートin向島2018」を見てみると、社会や文化に対する「抵抗」「批判」というよりは、「支配/従属」「マジョリティ/マイノリティ」「ハイカルチャーサブカルチャー」という二項対立そのものを無効化したり、転覆・融解させていくような「遊び」的なアプローチに立つ人たちや、プロジェクトの存在が印象に残りました。

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変わりゆく街の風景に対しても、「対抗」「批判」的な姿勢でそれらを守ろうとしたり、もの申していくのではなく、

「なくなっていく」「捨てられる」という状況そのものを、クリエイティブの契機として捉えなおしていくアーティストがいたり、

これまでこのエリアで培われてきた人・モノ・コトの関係性をあえて「組み替えていく」ことで、新たな可能性を生み出せるのではないかと考える人たちがいたり、

これまでにあったさまざまな地域の資源に対する見方、培われてきたネットワークに対する発想のありかたが、これまでとは異なるかたちで展開していくような予感を、そこかしこに見ることができました。

 

これまでこのエリアでは、クリエイティブな活動のための「ポイント」が作られ、それらが相互に影響しあがら、新たな「ポイント」が生み出され、さらに「39アートin向島」を含むアートプロジェクトの中で、それらの「ネットワーク」を構築されてきました。

もしかしたら、今後は、さらにその創り上げられてきた「ネットワーク」をもとに、さらにそれらをプレイし、新たなネットワークの可能性を見出したり、ネットワーキングすることそのものを遊びながら、これまでとは異なるアプローチで創造的な活動が行われていく段階へと発展していくのかもしれません。