kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

「物語を旅しよう」のサンプル・シナリオが公開されました

 2019年の年度末に、遊学芸保田琳さんにお願いして、TPRG型物語創作教材『物語の世界を旅しよう』をご制作いただきました。その制作の経緯などについては、以前、このブログの記事でもご紹介しておりますので、ぜひこちらをご覧いただければと思います。

kimilab.hateblo.jp

 

このたび、ふたたび、保田さんのお力で『物語を旅しよう』のサンプル・シナリオを、横浜国立大学リポジトリにて、公開できることになりました。

昨年度『物語を旅しよう』を公開してから、TRPGやゲームに対する理解がない者には、ハードルが高い」「高校の物語創作の授業で使ってみたいが、ファンタジー設定だと、高校生には幼すぎる」というような声をいただきました。

「ハードルが高い」という声に対する回答としては不十分かもしれませんが、今、できうる対応のひとつとして、いくつかのヴァリエーションのシナリオを示すことにした、という次第です。

 

f:id:kimisteva:20200320131853j:plain

「物語を旅しよう」サンプルシナリオ- YNUリポジトリ

 「物語を旅しよう」 - 横浜国立大学学術情報リポジトリ

 

私自身は、小学校・国語科のフィールドで仕事をしていますの、「子どもたちの読書経験を豊かにしたい」「今までに自分たちが読書などで触れてきた物語の世界を遊ぶことを楽しんでほしい」という思いから、保田さんには、世界の昔話・童話をモチーフとした2つのシナリオを考えていただきました。

 

①「ハートのない銅像」(オスカー・ワイルド『幸福な王子』をモチーフにしたシナリオ)

『幸福な王子』作:オスカー・ワイルド(語り:日色ともゑ)-おはなしのくに/NHK for School 

 

②「不思議の国の旅人」(ルイス・キャロル不思議の国のアリス』をモチーフにしたシナリオ)


【絵本】 不思議の国のアリス 前編【読み聞かせ】 アリスインワンダーランド

 

 

また、「ハードルが高い」という声におこたえして、もともとのマニュアル・ルールブックに掲載されていたモデル・シナリオよりもシンプルなバージョンとして、③「父の形見と子ども心」を考えていただきました。

こちらは、シンプルな、「探し物をして、届ける」というクエストなので、「どこからはじめていいかわからない」という人や、それまでに知っている昔話・童話がほとんどない子どもたちへのサンプルとして、使いやすいのではないかと思います。

 

そして、「高校生には、幼すぎる」という声にお応えして、このたび、常磐大学ゲーミフィケーション研究会会長に、原案をご作成いただき、エグみのある高校生・大学生向け長編シナリオ④「良心と豊かさの間で」も公開しました。

さらに、遊学芸・保田さんには、この長編シナリオのために作成された「長編用ワークシート」も作成していただき、こちらも同時公開しておりますので、「高校生や大学生に向けてやってみたいのだが…」というご要望には、少し、おこたえできたのかな、と思っています。

小学生向けに作ったはずの『物語を旅しよう』から、こんなシナリオが生まれるとは思っておらず、個人的にはちょっとびっくりしております…。

 

そして、いつの間にか、YNUリポジトリの表示画面が変わっていて、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」も一緒に表示されていることに気づきました。

昨年度、『物語を旅しよう』を公開したときも、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」と文化庁の「自由利用マーク」をつけていたのですが、たしかそのときは、このようなかたちで検索結果画面に表示されていたことはなかったと思います。

オープンサイエンス」「オープンアクセス」への議論が進展する中で、大学のリポジトリもこのような対応をするようになっていることは、素直に喜ばしいです。

 

ぜひ、これを機に、また『物語を旅しよう』を使って、遊んでくださる方が増えるといいな!と思っています。

私としても、次年度、教員志望の学生たちや現職の先生方に、『物語を旅しよう』を実際に体験していただける機会を増やしていきたいと思っています。