kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

「学び」に近い場所で「世界の見方を変える遊び」を遊ぶ~「漢文学者とやる漢詩×音ゲー『陽春白雪 』」と『ゲームさんぽ』

教職大学院で共同担当している「国語の教材デザイン論と実践Ⅱ(文学・テクスト)」の授業の一環として、『陽春白雪 Lyrica&続陽春白雪 結星諧調 Lyrica2 Stars Align』のゲーム実況をベースにした動画教材制作を行ってみました。

 

受講者1名(!)なので、どんな内容を「国語の教材デザイン論の実践」の「実践編」として行おうかな…と考えていたのですが、そんなくらいのタイミングでたまたま、いいだ/げーむさんぽ(@UraIida)さんが、「各大学がゲームさんぽでゼミ紹介やってくれたら面白そうだなー」とつぶやかれ、それを格闘系司書(@librarian03)さんがつないでくださった…というのが、そもそもの始まりです。

格闘系司書さんとは、2019年の図書館総合展のときに、連続ミニトーク「本とゲームとの幸せな関係!?」のひとつとして、漢詩漢文学)入門としてのゲーム~『Lyrica~陽春白雪』(ゲームアプリ、Switch)で迫る漢詩の魅力~」チラシPDF)というトークイベントを開催し、高芝麻子先生(横浜国立大学・准教授/漢文学)をゲストとしてお呼びしていて、そのときも、「これで、『ゲームさんぽ』みたいなオンライン動画をつくれたらいいよね!!」とお話ししていたこともありました。

そんなわけで、今回わたしがまっさきに思いついたのも、それでした。

ありがたいことに、高芝麻子先生は同僚でもあるので、「国語の教材デザイン論と実践」の授業内プロジェクトとして、受講生がホスト(案内人)となって、高芝先生にゲストとしてお話ししていただくような「ゲームさんぽ」のような動画を、高校国語(古典/漢文学)の教材動画として創れないか!?と思い立ちました。

 

ゲストとしてお呼びする高芝先生にお願してみたところこころよくお引き受けいただきました。そしてそれだけでなく、授業内での制作プロジェクトが進行するうちに、もともと「ゲームさんぽ」動画のファンでもあった素晴らしきゲームプレイヤーが仲間に入り、さらに収録直前に、ふだんからマルチプレイヤー型のオンラインゲームをたしなまれているために大変高価でマイクをお持ちであるという大学院生が仲間に加わってくださり、当初の予想をこえた素晴らしい環境&メンバーで収録を行うことができました。

ynukokugo.blogspot.com

ynukokugo.blogspot.com

 

その結果、できた動画がこちら!

 

本動画を、横浜国立大学教職大学院の公式Youtubeチャンネルで公開してもらいたいということで交渉してみたところ、横浜国立大学の公式チャンネルで公開してくださるだけでなく、横浜国立大学教職大学院「報告会・報告書」ページでも公開してくれました。

いいださんからも、なむさんからも反応をいただき、歓喜しております!

 

いま、ちょうど今年3月に発売されたばかりの『ゲームさんぽ:専門家と歩くゲームの世界』を読んでいるところなのですが、この本の帯には「これは世界の見方を変える遊び。」というキャッチコピーが掲載されています。

わたしは、いいださん&なむさんが、「ゲームさんぽ」を「遊び」として捉え、それを社会に向けてこのようなかたちでハッキリ提示されていることに、とても感銘を受けました。

 

 

わたしのこの解釈が正しいかどうかはわかりません。が、もし「ゲームさんぽ」が特定の誰かによる「コンテンツ」の名称ではなく、「遊び」であるとしたら、それはおそらく、誰もが自ら、自分で「遊び」をはじめられるような「何か」であるはずです。 

だれもがこの「世界の見方を変える遊び」を始まることができる。

そしていろいろな人たちがそれぞれにこの「遊び」を、いろいろなところではじめることで、日本中に、世界中に、「世界の見方を変える遊び」が野火のように広がっていく。「ゲームさんぽ」が、「野火的な活動(wildfire activity)」となる。

 

ゲームさんぽ:専門家と歩くゲームの世界』を読み進めれば読み進めるほど、この本は、単なる2年間の「記録」ではなく、これから「野火的活動」としてこの「遊び」を広めていくための「火種」となるべく編まれたものなのではないか、と思うようになりました。

そんなことを思いながら、2011年に自分が、当時東京で行われていた「野火的な活動」とそれを支えるネットワークやシステムについて書いたものを読み直してみると、当時、感じていたことと、『ゲームさんぽ』本で書かれていることに、どこか近いものがあるような、そんな感じがしてきます。

kimilab.hateblo.jp

 

そうであるとしたら、まず、わたしがすべきことは、教職大学院という、一番、「学び」に近い場所で、その「遊び」がどう遊べるのか、をいろいろ試してみるのかな、と思いました。

 

来年度も、同じように、「ゲームさんぽ」的に教材動画を作るようなプロジェクトができるといいなー。

Youtube動画のサムネイル