その寺子屋のサポーター(「寺子屋サポーター」)をしている関係で、昨年3月から、1年に1回、寺子屋に来ている中学生たちと「言葉で遊ぶ」機会をいただいています。
昨年は、「図書館たほいや」で遊びました。
今年は、オミクロン株の影響で、寺子屋自体が一時期、オンラインやハイブリッドでの開催だったこともあり、いろいろ考えた結果、千野帽子さんが『俳句いきなり入門』(NHK出版)で提案されている「つくらない句会」をやってみることにしました。
「つくらない句会」とは、その名のとおり、参加者が俳句を創らずにおこなう「句会」のこと。
今回は、中学生対象にした「つくらない句会」ということで、
①現代俳句協会「現代俳句データベース」から12句、
②長谷川櫂(監修)・季語と歳時記の会(著)『大人も読みたい こども歳時記』(小学館)に掲載されている小中学生の句から11句
そして…
③AI俳句協会「AIが作成した俳句一覧」からAIの作成した俳句12句を選び、
合計25句からなる俳句リストを作成しました。
この中から、「一番「これだ!と思う句」(特選)を1句、「好きだな」「気に入ったな」と思う句(正選)を4句、「これはない!」「文句つけてやりたい」句(逆選)を1句選んでください、とお願いしました。
それぞれの句を、2回ずつ、わたしのほうで読みあげて、少し時間をとったあと、結果発表。
その結果、こんな感じの結果(画像に示したものは、そのうちの一部です)となりました。
もっとも高得点をとった、2つの句は『大人も読みたい こども歳時記』(小学館)に掲載されていた中学生の句だったのですが、個人的に面白かったのは、AIの作成した句がけっこう大健闘していたことでした。
たとえば上記画像で「4点」をとっているこちらの句。
これを「特選」といって紹介してくれた生徒もいたので、その生徒にはどんな想像の世界が広がっていたのだろう…と思いを馳せてみると、そのわかるようで、わらかない世界が見えるような見えないような不思議な感覚に包まれます。
一方、「全部、意味わかんないもん!」といって、「特選」「正選」を選ばず「逆選」だけを紹介してくれた生徒もいました。
その生徒自身の気持ちとしては「全部『逆選』」だったようなのですが、今回は「『逆選』中の『逆選』」1句を選んでもらいました。
その生徒が単に、全部の句に対して興味を失って「全部『逆選』」と言っているわけではなくて、ひとつひとつの句に、きっちり、1つ1つ「ツッコミ」を入れてくれていて、それをメモとしてきちんと残してくれていた(!)ということにも感動しました。
『俳句いきなり入門』の中にも、何もつかない句より「逆選」が付く句のほうが、ある意味、印象に残るところがあったり、インパクトを残したりするという点で良い、というようなことが書いてあったと思いますが、この生徒にとっても、ひとつひとつ「逆選」をつける、ということが、俳句との向き合い方として意味のあるやり方だったのかもしれません。
美術館での対話型鑑賞をはじめ、ひとつの作品に対していろいろな人の「見方」に触れ、それについて話しを聞く時間は、やっぱり、わたしにとって特別な時間だとあらためて感じた時間でした。