kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

2021-01-01から1年間の記事一覧

コンヴィヴィアル(共愉的)な研究/実践の場で生まれたコンヴィヴィアルな知~岡部大介『ファンカルチャーのデザイン』

東京都市大学・岡部大介先生より、2021年8月に発刊されたばかりの『ファンカルチャーのデザイン:彼女らはいかに学び、創り、「推す」のか』(共立出版)をご恵投いただきました。

「正しい」ジェンダーの演じ方を求める世界のなかで~『息子のままで、女子になる』

日本質的心理学会第18回大会(10/24国内大会)のなかで、いくつか、「ジェンダーとパフォーマンス」が話題になりそうなシンポジウムに参加することになったこともあり、『シアターアーツ 3:演技・身体の現在』(晩成書房)に掲載されていた、ジュディス・バ…

言語学SFで描かれるフェミニズム・ユートピア~李琴峰『彼岸花が咲く島』

『彼岸花が咲く島』で芥川賞を受賞した李琴峰さんの芥川賞受賞スピーチが話題になっているのを目にし、その中で、彼女が受賞式後、数多の攻撃を受けていけながらそれを「彼らは心無い言葉によって、『彼岸花が咲く島』という小説を、寓話的なフィクションか…

ゲームを終焉させるゲームは可能か~SBGJ2021ビブリオバトルと『なぜふつうに食べられないのか』

「シリアスボードゲームジャム2021 ONLINE~図書館と一緒にシリアスボードゲームジャム!」の「前祭」として開催された「ビブリオバトル」に「バトラー(本を紹介する側)」として参加してきました。 sbgj2021.jimdosite.com 「シリアスボードゲームジャム」…

「ザ・ベグデルテスト」のアフタートーク~そして、リフレクションとディブリーフィング

インプロとジェンダー探求プロジェクトの第1回「ザ・ベクデルテスト(The Bechdel Test)」公演を視聴しました。 The Bechdel Test第1回公演案内 ※インプロとジェンダー探究プロジェクト 第1回 The Bechdel Test 公演のお知らせ | yuriesonobe.com 「ザ・ベ…

国語教育相談室:「誰だって落ち込むことはある」の主語・述語

「国語教育相談室」と書いてみましたが、新たにそんなコーナーを始めるというわけではありません。「国語教育相談室」みたいなものが必要ですね、という話です。 先日、教育に関わられている方より、中学校で出題された文法問題について、質問を受けました。…

プレイフルに言葉を生みだす体験を共有すること~全国大学国語教育学会2021春大会公開講座「言葉のティンカリングとことばあそび」

全国大学国語教育学会2021春大会の公開講座「言葉のティンカリングと言葉遊び」に参加してきました。 askoma.info 3時間にもわたる(!)記録動画なので、全部を視聴するのもなかなかエネルギーがいると思うけれど、Youtubeページ内にアップロードされてい…

パフォーマンス心理学関連シンポジウムの報告書が公開されました

2019年3月に参加してきたイーストサイド・インスティテュート(East Side Institute)のイマージョンプログラムで得た経験や知見をなんとか日本につなげたい!という思いから、2年間にわたり、日本質的心理学会大会での会員企画シンポジウムの企画にかかわっ…

オートライフヒストリーの方法論~タラ・ウェストーバー『エデュケーション(Educated: A Memoir)』

タラ・ウェストーバー(2020)『エデュケーション( Educated: A Memoir)』を、読んだ。 Amazonのページにある華々しい紹介文や、推薦コメント、そして邦訳につけられた「大学は私の人生を変えた」から推察されるように、この本は、「モルモン教サバイバリスト…

『あらためて、ライティングの高大接続』往復書簡を受けて

ひつじ書房のウェブマガジン『未草』の中に、今年4月から、「Book Review」の姉妹編として「Letter: Black Sheep and white Sheep」というコーナーが設けられています。 Letters:Black sheep white sheep | 未草 このはじめのシリーズとして、『あらためて…

ドリームランド、夢の跡地を生きる神鹿たち

横浜に移住いしてきたときから「行きたい」と繰り返し言いつつ、なぜか、行くことができなかった、横浜ドリームランド跡地に行ってきました。 旧ドリームランドに興味がありすぎて、年に一度の、横浜薬科大学の先生方との邂逅の折には、本来の業務も忘れて、…

自閉症的世界のトランスレーションのトランスレーション~映画『僕が跳びはねる理由 (The Reason I Jump)』

シネマジャックアンドベティで、映画『僕が飛び跳ねる理由( The Reason I Jump)』を鑑賞してきました。 www.youtube.com hbol.jp 日本語版のタイトルが、東田直樹さんの原作タイトル『自閉症の僕が跳びはねる理由』ほぼそのままなので、『自閉症の僕が跳びは…

非可知(unknowable)な世界のサバイバーーともに学んできた4年間を振り返って

今日は、勤務先の大学の卒業式でした。 緊急事態宣言が直前まで続いていたことから、全学行事としての「卒業式」は中止となり、領域単位での「学位授与式」だけが執り行われました。 それでも、やっぱり、今日は「卒業式の日」なんだと思います。 今日は、一…

コモン(共有地)としての「事実」を考える~「教育言説のファクトチェック:プレ入門」

NPO法人教育のためのコミュニケーションによる読書会イベント「教育言説のファクトチェック:プレ入門編」に参加しました。 「教育言説のファクトチェック プレ入門編」 EVENT|教育言説のファクトチェック<プレ入門編> 岩波ブックレットとして発行されて…

行動主義的児童虐待と子どものレジリエンスー『立派なこどもの育て方(Birthmarked

Netflixで公開されているインディー映画『立派なこどもの育て方(Birthmarked)』(2018年、カナダ映画、エマニュエル・ホス=デマレ監督)を観た*1。 Birthmarked Trailer #1 (2018) | Movieclips Indie この映画、とあるサイトのレビューで、「科学的児童虐…

身体と感情でジェンダーを問う―ダレデモデラルテvol.2「ザ・ベクデルテスト」

即興劇場「ダレデモデラルテ」による公演・第2弾として行われた「ザ・ベクデルテスト」の公演(午前の部)を鑑賞しました。 ダレデモデラルテvol.2 ザ・ベクデルテスト ◆即興劇場ダレデモデラルテ vol. 2 「ザ・ベクデルテスト」 ご観覧ありがとうございま…

子どもの「お仕事」―映画『モンテッソーリ 子どもの家』

フランス最古のモンテッソーリ学校に通う子どもたちを、2年3カ月にわたって観察・記録し続けた、教育ドキュメンタリー映画『モンテッソーリ 子どもの家』を観にいきました。 『モンテッソーリ 子どもの家』 わたしは、映画を鑑賞後に、公式ホームページを…

「老い」をめぐる悲劇的なナラティブと出会いなおす―『インプロがひらく〈老い〉の創造性』

高齢者パフォーマンス集団「くるる即興劇団」を主宰されている園部友里恵さんより、「くるる即興劇団」のアクションリサーチ本『インプロがひらく〈老い〉の創造性』(新曜社)をご恵投いただきました。 「くるる即興劇団」という名前を知って、すぐに興味を…

「ほっといてください」の感情共有装置―宇佐美りん『推し、燃ゆ』

ようやく、宇佐美りん『推し、燃ゆ』を読んだ。 芥川賞受賞作であり、かつ本屋大賞にもノミネートされていることもあり、とにも書くにも評判は高いのだが、本の「あらすじ」を見ようとしても、ほとんど、帯コピー(「推しが炎上した。ファンを殴ったらしい。…

遠くから思いを馳せざるをえない時代のアートー「メゾン・ケンポクの何かはある2020」アーカイブサイト

昨年(2020年)1~3月に開催されていたメゾン・ケンポクの「何かはある」。 メゾン・ケンポクの『何かはある』(メゾン・ケンポク、茨城県北各地) 今年開催が予定されていた「何かはある2021」も、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一部プログラ…

ミスリード情報をリツイートしてしまった話――フェイクニュースとの付き合い方

先日、BuzFeed Japanによるファクトチェック記事「新型コロナワクチン、「感染予防効果なし」は誤り」が公開されました。 www.buzzfeed.com マスメディアによる、いわゆる「反ワクチン」報道については、これまでも話題になってしましたが、それに対して、Bu…

文部科学大臣記者会見「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部」について

萩生田文科相は、1月19日の記者会見で、文部科学省内に「「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部」を立ち上げることを表明しました。 この件に関しては、教育新聞が「「教師を再び憧れの職業に」 文科相、検討本部設置を表明…

4回だけ会えた、学生たちとの授業のこと

今年度、1年間だけ、お引き受けしていた非常勤講師先の大学での授業が終わる。夜遅くに開講される受講者7-8人の小さな授業。 春学期はすべてオンラインだったので学生たちに会うことすらかなわなかったけれど、後期は少しだけ、学生たちに会うことができた…