kimilab journal

Literacy, Culture and contemporary learning

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

一人称代名詞という主戦場――スーザン・クークリン『カラフルなぼくら』

私を呼ぶときの代名詞には、本当は〈彼ら〉を使ってもらいたいんだ。男と女の両方が自分の中にいると思うから。でもそれを理解できる人はほとんどいないので〈彼〉でいいよ。長い間ずっと〈彼女〉だったから、そろそろ交代してもいい時期だ。女子でいるのは…

ハーメルンの笛から逃げるための方法について――中島佑太ワークショップ展示@岡本太郎美術館

水戸芸術館現代美術センター・高校生ウィーク「大人部」、および、その後に行われた水戸のキワマリ荘でのトークイベント「よんでみる 11」でお世話になった、アーティストの中島佑太さんが、川崎市岡本太郎美術館の企画展「遊び ひらく 岡本太郎」展のなかで…

誰かのための住処/みんなの公共空間――DenchuLab.一般公開展示

東京都台東区・谷中霊園の近くにある旧・平櫛田中邸で行われたいた若手アーティストによる滞在制作「Denchu Lab.」の公開展示を見にいってきました。 ★若手アーティストによる滞在制作 | Denchu Days_Live Arts and Archives ★プレスリリース(PDF) 平櫛田中…

言葉への信頼を取り戻すために

9月19日未明に、参議院本会議で、安全保障関連法案が可決・成立したことを、9月20日以降、安保保証関連法案採決を実現するための政府与党による一連の手法や、「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」を中心とした安保保障関連法案への反対運動、こ…

「ビエンナーレさん」の憂鬱――中之条ビエンナーレと共生の諸問題

中之条ビエンナーレにいってまいりました。 中之条ビエンナーレは、群馬県吾妻郡中之条町で2007年より開催されているアートイベント。 中之条ビエンナーレが、2007年に第1回を開催した際には、参加作家数が58人で来場者数はのべ48,000人。予算も中之条町か…

生物のユートピア――遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』

「児童文学におけるセクシュアルマイノリティについて考える」ための読書プロジェクトの一環として、遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』を読みました。 www.shogakukan.co.jp 左から、単行本版、文庫版、マンガ版になります。 表だって「ヤングアダルト」を掲…

みんながいなければ、たどりつけない場所――ロクディムフェスティバル

第6回「したまち演劇祭 in 台東」のなかで開催されていた「ロクディムフェスティバル この瞬間を一緒に笑おう」に行ってきました。 ロクディムの皆さんとはじめてお会いしたのは、2011年。東日本大震災があったその年の秋のことです。当時わたしは、現代美…

英語の発音を学ぶための便利サイト&アプリ

今週のお題「いま学んでみたいこと」。 勤務先の大学で、ブリティッシュカウンシルよる法人・教育機関向けの英語セミナーを受講しています。発音からアカデミック・ライティングまでいろいろ学べる4回シリーズの英語セミナーで、本日は、発音について学習し…

「悪書」とされる児童書

本日、ニュージーランドで児童文学賞を受賞した作品が、発禁処分を受けたというニュースが報道されていました。 www.afpbb.com 問題となった作品は、先住民マオリの少年を描いたもので、少年は奨学金を得て名門寄宿学校に入学するものの、人種差別や薬物問題…

サロンパスのようなナプキン:川島誠「電話がなっている」

以前の記事にも書きましたが、児童文学におけるセクシュアルマイノリティの問題を考えていると、どうしても、児童文学におけるセクシュアリティの問題にぶつかります。 『だれかを好きになった日に読む本 (きょうはこの本読みたいな)』の中の「解説」にも、…

セカイ系児童文学――『だれかを好きになった日に読む本』

「本当にだれかを好きになった日に読んだら恋愛どころじゃなくなる本」との評判高い(?)現代児童文学研究会(編)(1990)『だれかを好きになった日に読む本』(偕成社)を読みました。 本の表紙画像を見て、「そんなおおげさな」と思われた方もいらっしゃる…

絵本建築

今週のお題「一番古い記憶」。 ・・・ということで、本をめぐる「一番古い記憶」の話をしようと思います。 これは、本をめぐる「一番古い記憶」の話でもあるのですが、一方、建築をめぐる「一番古い記憶」の話でもあります。わたしがもっともはじめてつくった建…

なんとなく性別越境したいボクら・その2

児童文学におけるセクシュアルマイノリティについて考えるため、引き続き、如月かずささんのYA文学『カエルの歌姫』(2011年)を読みました。 前回読んだ『シンデレラウミウシの彼女』は、講談社のYA! ENTERTAINMENTシリーズということもあり、装丁からし…

なんとなく性別越境したいボクら・その1

「セクシュアルマイノリティと児童文学について考えること」で書いた決意表明にしたがって、セクシュアルマイノリティが登場する児童文学・ヤングアダルト文学を読みはじめています。 まずはじめに手にとったのは、如月かずさ(2013)『シンデレラウミウシの彼…