10月末から、新ルールが適用になり、「もはやボジョレーの時代は終わった。これからは日本ワインだ」というニュースもちらほら見かけるようになりました。
そんななか、なぜか、今までまったく興味がなかったボジョレー・ヌーボーに興味を示し、今年はじめて(だと思う)ボジョレ―・ヌーボーを飲んでみたわたしです。
そのきっかけは、こちらの本、小久保尊・山田コロ『図解ワイン1年生』と出会ったこと。
発売が2015年ですから、もう3年前。発売後、徐々にSNSなどで話題になっていった本とはいえ、話題になってからも久しいのですが、いまだにヨドバシカメラのワインコーナーに行くと、キャラクターが見られたりする『図解ワイン1年生』というワイン擬人化本があったりします。
『図解ワイン1年生』に出てくるワイン擬人化キャラクターは、「図解ワイン1年生 web」ですべて見ることができます。
昨年の記事ではありますが、「ボジョレ・ヌーボー企画」の記事もアップされていて、今年見てもそれなりに楽しめる不思議。
『図解ワイン1年生』のワイン擬人化は、数ある擬人化ものの中でも、群を抜いていると思います。
わたしの中では、2.5次元ミュージカル化(!)までした鉄道擬人化マンガ『青春鉄道』にならぶ、
擬人化キャラクターの完成度の高さ!
関係性の読み込みの深さ(?)!
…があると思っています。
こちらの「ちょこっと紹介ムービー」では、シャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、リースリング、カベルネ・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨンが、紹介されているので、この動画を見ると、少しその雰囲気が伝わるかもしれません。
ただ、この動画だと、関係性の読み込みまでは伝わりませんね…!
『図解ワイン1年生』の面白さは、どちらかというと、関係性の読み込みにあると思っています。
…というのは、ワインの面白いところは、ブドウの味だけでなく、テロワール(ブドウをとりまく自然環境)や、熟成のさせかたを含む、地域ごとの作り方…などなどによって、味がまったく変わってくるところにあるからです。
だから…、
関係性、めっちゃ重要!!
だから、(ストーリーとして)面白い!!
…わけです。
上記に紹介した動画で見られる関係性としては、リース・リングだけ、(ツンデレ感を出すために)ちょこっとだけそのあたりに触れられています。
「ツンデレ」キャラのリース・リングですが、なぜ、「ツンデレ」かというと、辛口から甘口まですべてそろっている(!)上に、他のブドウにとりつくとそのブドウを死に至らしめるカビ(ボトリティス・シネレア)とカップリングされると(←妄想はいってきました)、すばらしく甘く美味しい(らしい)貴腐ワインができてしまう!という、デレ具合!
アルザスという場所は霧が発生しやすいところなのですが、そのせいでぶどうがカビやすくなっています。“ボトリティス・シネレア”というカビなんですが、他の品種だったらたいていこのカビで死にます。でもリースリングはこのカビがつくことによっとて、水分だけがすーっと抜かれていって、ワインにとっていい感じのぶどうになっちゃうんです。水分が抜けることによって、適量の糖分だけが残ってくれるからです。
また貴腐ワインは、“貴腐香”という独特の香りを放つことがあるそうです。「薫り立つ腐臭」だそうです。たまりませんね。そういう悩ましげな描写は大好きです。(『図解ワイン1年生』173ページ)
他の品種であれば、死に至る病でしかない”ボトリティス・シネレア”と、リースリングのカップリングに、ロマンを感じるのはわたし(とこの作者)だけではないはず!!…と信じたい。
『図解ワイン1年生』では、こんな調子で、ワインの作りかたやテロワールや…さまざまなワインをめぐるストーリーが、キャラクターの中に折り込まれていて、キャラクター同士の関係性や、(ショートストーリーしかないですが)そこから生み出されるエピソードを創り出しているわけです。
…と、まぁ、そんな感じで、どはまりしていたら、アール・ヌーボーの解禁日間近になって、「ガメイちゃんが、1年間で唯一、センター取れる日!マジか!!」と沸き立ってしまい、近くの店にいく羽目になったのでした。
そんなふうに、ワインが擬人化されて見えてくると、こんなワインの試飲セットも違った見え方ができてくるように思います。