「東京ゲームショウ2018」におけるゲーム・レポート、第3段。
「東京ゲームショウ2018」の見どころのひとつしても紹介されることのある「インディーゲーム」コーナー。実際、東京ゲームショウのビジネスデー最終日には「センス・オブ・ワンダーナイト」というインディーゲームの祭典が行われたりもしていて、主催者側でも、インディーゲームを重要なものとして位置付けていることがわかる。
今年の「センス・オブ・ワンダーナイト」の受賞作品もすでにオンライン上でレポートされているようだ。
そんなわけで、海外のゲームサイトでは、早くから「東京ゲームショウ2018におけるベスト・インディーゲーム8(The 8 best indie games from Tokyo Game Show 2018)」という記事も公開されていたり、
こちらの記事では、審査を通過してデモ展示されている「インディーゲームA」と、「センス・オブ・ワンダー」ノミネート作品のリストが示されている。
★Check out the Indie Games Featured at Tokyo Game Show 2018 | The Reimaru Files
…海外からの視点と、日本からの視点の違いを感じますね。
わたしは、以前から、教育や社会とゲームとの関わりに関心があるので、その視点から、インディーゲームコーナーを巡っていたわけだが、そんなわたしから見て、面白かったゲームをいくつかご紹介。
1.現代ノルウェー史の闇を扱った育成シミュレーションゲーム『マイ・チャイルド:レーベンスボルン』
以前、「4gamer.net」で記事を見て気になっていた、ノルウェーの現代史の闇を扱ったインディーゲーム「マイ・チャイルド:レーベンスボルン」。このゲーム、「東京ゲームショウ2018」にあわせて日本語版が公開され、日本でもiOSおよびAndroidでプレイできるようになったようだ。
詳しくは、4gamers.netのこれらの記事を見ていただければと思いますが、このゲーム、ナチスによる人口増加計画「レーベンスボルン(生命の泉)」の問題を取り扱っている。
人の命を奪うことによる「純血」計画が、ホロコーストであるとしたら、レーベンスボルンはそれとは対照的なかたちでの「純血」計画であるといるかもしれません。
ノルウェーでは、戦後、ナチス党員とノルウェー人との間に生まれたの子どもたちを「レーベンスボルン」と呼び、公然とこの子どもたちを差別の対象としてきた歴史がある。
『マイ・チャイルド』は、この「レーベンスボルン」と呼ばれ、差別され、学校で公然といじめられてくる子どもたちの親となって、この子どもたちを育てていく「育成ゲーム」(!)。
子どもは、学校から帰ってくるたびに、傷だらけになっていて、自分がなんでこんな目に遭わなければいけないのかがわからずに落ち込んでいて、「お父さんのこと、教えてくれる?」と語りかけてくる。
プレイヤーは、「お父さんのこと」をどう伝えたらいいのか逡巡しながら、ひとつひとつ答えるべきセリフを選択したり、子どもへの働きかけかたを選んでいきながら、「わたしの子ども(マイ・チャイルド)」との関係を作っていく。
そんなシミュレーション・ゲーム。
「感情を揺さぶられる」と評されているけれど、まさに「揺さぶられる」という言い方がぴったりくるような経験ができるゲームで、何分間か、デモ・プレイを体験しただけのわたしでも、いまだに、「わたしの子ども」がその後どうだったのか、わたしはどうすべきだったのか、気になって仕方がない。
幸いなことに、直接、開発者らしきスタッフの方と話をすることができたので、どうしてこのようなゲームを制作したのか聞いてみたところ、「レーベンスボルン」と呼ばれた子どもたちが現在、70代になっており、この歴史を語り継がねばならないとの思いから、ゲームアプリを開発したのだというお話を聞くことができた。
以下、時間がなくてプレイはできなかったのだが、インディーコーナーを歩いていて、「これは!」と思ったゲームを、紹介記事とともにご紹介したい。
2.全盲のプログラマーが開発した音ゲー『オーディオ・ゲーム・センター』
「東京ゲームショウ」全体では、3Dヴィジュアル当たり前!VR全盛!という感じのなか、まったくヴィジュアル情報をともなわないゲームが、インディーゲームコーナーに展示されていた。
聞いてみると、どうやら、全盲のプログラマーの方がゲーム制作を手がけたゲームで、音だけをたよりに、感覚や想像力を働かせて、出現する敵をよけたり戦ったりするアクション・ゲームらしい。
話だけを聞いて、「それは面白そうだ」と思っていたところ、9/29~9/30に、青山スパイラルエスプラナー度で「Audio Game Center」の展示が行われるとのこと。
そのあともどこかで展示が行われるのだろうか。
日常で手軽に行うゲームというのとは違うのかもしれないが、ゲームによる感覚の越境、異なる他者の感覚との出会いという意味で、とても興味のあるゲームである。
インディーゲームコーナーを歩いているときに、明らかに、わたしの心をつかむヴィジュアルのポスターで、「漢詩」とか「故事成語」とか気になるワードばかり並んでいたので、「行きたい、行きたい」と思っていたにもかかわらず結局プレイできなかった「陽春白雪」。
gnn.gamer.com.tw
まだ、中国語版しかリリースされておらず、日本語版はないらしいので、時間があってプレイできたとしても、まったくプレイの進め方はわからなかったかもしれない…。
そんなわけで、どんなゲームなのかを、4gamers.netの記事を読みながらようやく理解できたわたしである。
とりあえずわかっていることは、漢詩×音ゲー!これはやるしかない!ということのみである。
ど
どうやら、2018年のうちに、日本語版もリリースされるようなので、とりあえずそれを待つことにしたいと思う。
どんな感じなのだろう…日本語の漢詩の読み方には対応してなさそうな気するが、それも含めて、いまから楽しみである。