9/6~9/8に開催される「TRPGフェス2019」 の中でのJARPS(日本RPG学研究会)企画情報、第2弾です。
昨年度の学術LARP企画「安心からの脱出:Village,Shelter, Comfort(芸術型教育LARP)」(togetterによるまとめは、こちら)に引き続き、今年度も、ノルディックLARP(社会・芸術的な教育LARP)*1のセッションを行います。
前回の「TRPGフェス2018」で行ったノルディックLARP「安心からの脱出」は、カム・ビョーン=オーレ先生 がゲームデザインした創作LARPでした。(Björn-Ole Kamm | LARP — 安心からの脱出))
9/6~9/8に開催される「TRPGフェス2019」 の中でのJARPS(日本RPG学研究会)企画情報、第2弾です。
昨年度の学術LARP企画「安心からの脱出:Village,Shelter, Comfort(芸術型教育LARP)」(togetterによるまとめは、こちら)に引き続き、今年度も、ノルディックLARP(社会・芸術的な教育LARP)のセッションを行います。

NordicLARP体験2019
前回の「TRPGフェス2018」で行ったノルディックLARP「安心からの脱出」は、カム・ビョーン=オーレ先生がゲームデザインした創作LARPでした。(Björn-Ole Kamm | LARP — 安心らの脱出)
…が、このLARPはむちゃくちゃ時間がかかる!
17時に集合してイントロダクションと事前ワークショップ、夕飯を食べて、実際のLARPが(休憩はさみつつですが)4時間強、事後ディブリーフィングを終えるとちょうど日付が変わるくらいの時間(!)という、そんな感じでした。(「TRPGフェス2018」のサイトでは、17:00~24:00と書かれていますが、この内訳はそんな感じです)
このLARP体験を経て「ノルディックLARPって面白そう!」って思ってくださった方もけっこういらっしゃる一方で、「LARPってものすごく時間がかかるのでは…」「実際に、教育活動やコミュニティワークで実施するには長すぎるのでは…」という思いを持たれた方がいらっしゃるのも事実。
そこで、今年度「TRPGフェス2019」で企画する「LARP体験」では、45分~2時間程度でゲームをプレイできるような「ミニLARP」を集めてご紹介することになりました。
もちろん、ノルディックLARPは、「勝敗よりも、芸術的な表現、政治的なメッセージや共同物語作りに焦点を起き、前後ワークショップを大切にするLARPスタイル」ですので、ゲームプレイの時間の前後に、事前ワークショップ・事後ブリーフィングの時間が必要になるので、実質的にかかる時間は、2~3時間になります。「ノルディックLARPをやってみよう!」と思われた方が、実際にやってみるためのハードルは、ぐんと下がるのではないか?と期待しております。
今回とりあげる、ノルディックLARP(ミニLARP)は、「フェミニズム」と「アイデンティティ」の問題に焦点を当てています。
今回は、3つのLARPをご紹介する予定ですが、そのうちの2つは、『#Feminism:A Nano-game Anthology』に掲載されているゲームです。『#Feminism』は、世界8か国のフェミニストたちが、自分たちを取り巻く現代的な問題をテーマに作成したLARPのゲーム集。「nano-game」とあるように、そこで紹介されているゲームは、30分~1時間程度の短いものばかりです。
About the Anthologyfeministnanogames.wordpress.com
前回よりも、気軽にご参加いただけると思いますので、ぜひ多くの方にご参加いただければと思います。
JARPS企画「ノルディックLARP(社会・芸術的な教育LARP)体験」
主催:日本RPG学研究会(代表:ビョーン=オーレ・カム)
開催日:9/6~9/8のTRPGフェス2019内(現在、日程調整中)
時間:各2~3時間
料金:無料
定員:各セッション4~12名(セッションごとに異なる)
参加方法:予約制
一般的に、LARPは「長時間・数日間かかるイベント」または「ただの娯楽」と思われがちです。しかし、海外でのLARPの事例を見ると、5分程度でできるミニ・ゲームのようなLARPも多くあり、また、社会問題や他者の視点についてプレイの中で学べる教育LARPも実施されています。
本イベントでは、政治的・社会問題的なテーマを扱うノルディックLARPや、ミニLARPの可能性と面白さ・素晴らしさを具体的に紹介したいと思います。
本イベントの各セッションでは、45分~2時間のミニLARP(+事前の説明と振り返り)を実施します。今回はLARPのテーマとして、現在日本でも社会問題の1つとして注目されているジェンダーやセクシュアリティの問題、そして、人生における重要な選択やアイデンティティといった問題を取り上げました。ロールプレイを楽しみつつ、シナリオを通して、これらの問題に対する意識を向上させる体験をしていきます。
「LARPやTRPGにはこの世を変える力がある!」かもしれません。少なくとも我々主催者はそう信じています。皆さんもその可能性や面白さを体験してみてください。
◆シナリオ1:パジャマ・パーティー(ジョナヤ・ケンパー/作)(『#Feminism』より)
友達同士のつながり、思春期の成長、そして社会の中心から取り残された者として生きることについてのLARPです。 あなたは今、「何者」ですか?友達の手助けによって「何者」になれるのでしょうか?
各プレイヤーは、日々、社会から取り残された自分に直面しければならない、複数の女の子キャラクターを演じます(プレイヤー自身の性別は関係ありません)。キャラクターは全員12歳の「負け犬」[k1]です。けれども彼女たちには互いに築きあげてきた強いつながりがあります。彼女たちにとって、同世代の他の人たちから人気がないことは、重要ではありません。このLARPでは、彼女たちのうちのひとりの誕生日の日に集まり、パジャマ・パーティを開催するところからプレイがスタートします。彼女たちはパジャマ・パーティで互いの秘密を共有しあい、友情を深めていきます。
キーワード:大人になること、社会から取り残されたアイデンティティ、セクシュアリティ、人種差別、性差別、友情
プレイヤー定員:4~6名
プレイ時間:60分
持ち物:寝服・パジャマまたはホテルの浴衣を着て会場に来てください。
◆シナリオ2:マニック・ピクシー・ドリーム・ガール(MPDG)特殊部隊!(リジー・スターク/作)(『#Feminism』より)
「マニックピクシードリームガール」(MPDG)は、映画に登場する「お決まりのキャラクター」です。基本的に「ダメ男を元気づける、自由奔放な人生の恋人」と定義されています(「マニックピクシードリームガール」『デジタル大辞泉』)。
プレイヤーの演じるキャラクターはSTEM(科学、技術、工学、数学/医学)の分野で働きたいと思っている女性(キャラクターは女性ですが、プレイヤー自身の性別は関係ありません)。しかし、彼女には、自分自身の選んだ分野で大学院に通うだけの金銭的な余裕がありませんでした。しかし軍隊が、大学院教育のための費用を支払ってくれるというので、彼女は軍に入隊することを決心します。軍の上官は、彼女を「マニックピクシードリームガール特殊部隊(MPDG特殊部隊)」に任命しました。このLARPでプレイヤーたちは、MPDG特殊部隊チームの最後のミッションをプレイします。ミッションに成功すれば、服務期間を終えて、民間人としての生活に戻り、希望する大学院に学費免除で進学することができます。
もし失敗したら?――ああ、なんてことでしょう!このチームには、失敗なんて言葉はないのです!
キーワード: ひらかれた場、見知らぬ人との出会い、チームワーク、荒唐無稽なミッション
プレイヤー定員:4~5名
プレイ時間:45分
持ち物:カラフルなウィッグやサングラス、パンクピンなど、元気な女の子キャラクターをイメージしたアクセサリー、セーラー服やミリタリー服などをお持ちの方は、ぜひ会場に持ってきてください。
◆シナリオ3:辺獄(リンボ)~忘れ去られた場所(トアー・シェティル・エドランド作)
「辺獄(リンボ)」とは、キリスト教で、死後、地獄には行かないが、キリストの贖いによって救われるまでは天国に行けない人がとどまると考えられた場所。時空を超越した場所、生と死の間に存在するとされるこの場所が、このLARPの舞台です。再び命ある世界に戻るか、死の向こう側にある未知に直面するか、今までの人生について考える「待合室」です。キャラクターは、現代社会からこの世界へとやって来た、生と死との間をさまよう人たちの集団です。
キーワード:実存的選択、夢、未知への不安、精神性
プレイヤー定員:6~12名
プレイ時間:120分
持ち物:白色・淡色系のTシャツとハーフパンツなど、生と死の間にあるどこでもない場所(忘れられた場所)をイメージした衣服、または死者をイメージできる衣装(白い着物・浴衣)を着て会場に来てください。
*1:ノルディックLARPとは、「ノルディク・ラープ」はもともと北欧(nordic)から始まったライブ・アクションRPGのスタイルです。現在は南アメリカからシリアまで、世界の広い範囲にこのLARPの考え方が広まり、多くの国や地域で実践されています。「勝敗よりも、芸術的な表現、政治的なメッセージや共同物語作りに焦点を起き、前後ワークショップを大切にするLARPスタイルです」。(カム・ビョーン=オーレ「LARP―安心からの脱出」より