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Literacy, Culture and contemporary learning

襲いかかる記憶――「クリテリオム92 土屋紳一」作品制作

今年の2月20日から水戸芸術館にて開催される「クリテリオム92 土屋紳一」展の作品制作に協力するため、水戸芸術館まで行ってきました。

 

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フィルム写真全盛期よりデジタル技術を用いた写真作品の制作に取り組んできた土屋紳一。本展では、カセットテープレコーダーを題材に、個々人の記憶を歴史へと接続する作品を紹介します。(水戸芸術館|美術|土屋紳一)

 

わたしにとって、“カセットテープ”というメディアは、常にわたしの半生とともにあったといっても過言ではありません。

高校時代に、演劇部で作品づくりをする際には欠かせない存在でしたし、高校を卒業してからも、その後3年くらいOB劇団をつくって公演を行ったり、高校演劇のお手伝いのようなこともしておりました。当時使っていた、10分サイズのカセットテープは、いまだに残っています。

大学院に入ってからは、インタビューによるライフストーリー調査によって、さまざまな人たちの語りを集め、耳を傾けてるメディアとして、カセットテープを選んできました。当時はまだICレコーダーが高価であったこともありますが、カセットテープレコーダーの気軽さが、なによりも大きな魅力でした。

 

カセットテープとともに、自分の生き方を暗中模索しつづけた時代があまりにも長かったため、調査で使用する機材を、カセットテープレコーダーからICレコーダーへと変えたときには、感慨深いものがありました。

時はながれ、今や、ICレコーダーすら持ち歩かなくても、だれもが気軽に、スマートフォンで、その場で起きている出来事を、録音することができます。

 

そのような中で、「カセットテープレコーダーを題材に、個々人の記憶を歴史へと接続する作品」を製作されるというお話を聞き、「これはぜひ何か協力したい!」と思い、今回の作品製作に協力させていただくことになりました。

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動物たちの寒さ対策――埼玉県こども動物自然公園・2016年冬――

今週のお題「年末年始の風景」第2弾です。

2016年新春は、「暖冬」と呼ばれただけあって、なかなか暖かい陽気に恵まれましたよね。4月並の気温であるという話もあったとか・・・寒さに弱いわたしにとっては、とてもありがたいお正月となりました。

 

さて、そんな暖かな陽気に恵まれたとはいえ、冬は冬。

・・・というわけで、不思議なあたたかさをもつ冬の動物園を直撃。

今回は、埼玉県こども動物自然公園を突撃取材!動物たちの寒さ対策をレポートします。



【寒さ対策①:ねころぶ】

まずは、「これは・・・むしろ、寒くないのかな?」と思われるケースのカンガルーさん。
太陽光を熱源として最大限活用した、ひなたぼっこ作戦です。「暖冬」だからこそできるワザですね。よかったよかった。

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【寒さ対策②:うまる】

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外気温は低くても、木の葉のなかはあたたかい!・・・そんなこともあります。

木の葉の中に埋もれば、外の寒さもしのげちゃう!

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【寒さ対策③:あつまる】

しかし、身の周りに木の葉などがなくて、うもれないときもあります。

そんなときはどうすれば良いのか?

こちらは、そんな時のための裏ワザです。みんなであつまって身を寄せ合えば、みんなの体温をつかってあたためあうことができますね。さすが!

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【寒さ対策④:あびる

そうはいっても、熱源が提供されるのであれば、それに超したことはありません。

お湯があればそこに行き、お湯をあびる!基本です。基本は大事。

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【寒さ対策⑤:つかる】

とはいえ、あたたまるなら、やっぱり温泉が一番だよね♪

・・・ってことで、最後はカピバラ温泉です。

温泉につかってるカピバラって、なんであんなに幸せそうなんでしょうね。

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初日の出と祈りの風景

2016年になりましたね。皆さま、あけましておめでとうございます。

今週のお題「年末年始の風景」ということで、初日の出の様子をご紹介したいと思います。

「初日の出」というと、水平線の向こう側から日が昇ってきて、水面に太陽光が反射し・・・という写真で表現されることが多いですよね。

たしかに、視覚的に1枚の写真・絵画でみたときには、そのような「絵」が一番わかりやすいだろうとは思うのですが、「初日の出を拝む」といったときに大切な時間は、むしろ、日が昇る前の時間だろうと思うのです。

 

太陽が出てくる前、気温の低いピンとした空気のなかで、日が昇るのを待つその時間。

そこにあらわれる、祈りの風景こそが、美しい。

・・・そんなことを毎年思います。

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なぜ、私たちは、初日の出を拝むのでしょうか。

それは、「初日の出とともに年神様が現れる」という信仰があるからなのだそうです。

そう考えてみると、神様のあらわれを待つその時間こそが大切だとかんじる、わたし自身の感覚に、理由が与えられたような気持ちになります。

 

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明るくなってきたな・・・と思って海のほうに目を向けると、雲のかたちにそって、光のラインができています。とても神秘的。

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日が昇りはじめると、それまで波にのっていたサーファーたちも、一斉に水平線の方を向き、手を合わせます。

宗教とかイデオロギーとか、そういうものを超えた大きな力のようなものが、そこにはあるような気がしてきます。

その大きな力のようなものに、かつて生きた人々は「年神様」という名前をつけたのかもしれません。

 

今年も良い年になると良いですね。

皆さまのご健康とご多幸を心よりお祈りしております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

LGBT・セクシュアルマイノリティ教育のための学習リソース集@神奈川

NPO法人Re:Bitによる公開講座「LGBTの自立/就労を応援するためにできること」@横浜))に参加してきました。

LGBTとは、「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルトランスジェンダー」の頭文字をとった総称で、一般的には、セクシュアルマイノリティを包括的に示す言葉として使われることの多い言葉です(定義はこちら

rebitlgbt.org

この公開講座は、今年度3回シリーズで開催される予定で、今回はその2回目。1回目は先週、「LGBTってなんだろう?」というテーマで開催されたということでした。さらに、その数日前には、同じ会場で、LGBTの若者を対象にした「10~20代のジョブトーク!」@横浜も開催されていたようで・・・、「横浜レインボーフェスタ」といい、なんだかすごいぞ、横浜!というかんじがします。

 

事実、横浜市は今年から、LGBTへの支援を充実させるべくさまざまな事業を展開しているようです。神奈川新聞のこちらの記事では、横浜市が今年11月からLGBT支援を充実させるためにはじめた2つの事業(交流スペース事業、相談事業)が紹介されています。

www.kanaloco.jp

 

さて、本日の公開講座では、「LGBTの自立/就労を応援するためにできること」というタイトルで、Re:Bit代用理事でもあり、認定キャリアカウンセラーでもある薬師実芳さん自身が、LGBT当事者のキャリアサポートをするなかで出会った、LGBTの自立/就労上の困難についてもお話がありました。

 

その中で、学齢期の児童・生徒たちの問題として挙げられていたのが、「働くおとな」としてのロールモデルの不在。社会のなかではたらくLGBT当事者のイメージがないため、うまくキャリア形成をしていけない・・・という問題があるようです。

 

今年の6月に朝日新聞のウェブ記事で紹介されていた、LGBTカップルの「かぞく」の動画は、LGBTの「おとな」「かぞく」として生きることの具体的な姿をわたしたちに見せてくれました。

www.asahi.com

これと同じように、LGBTとして「はたらく大人」の姿をつたえることが、LGBTに関する教育を、キャリア教育の視点から考えていくための第1歩として、必要なことなのかもしれません。

では、学齢期の子どもたちに「働くおとな」としてのロールモデルを持ってもらうには、どうすれば良いのでしょうか?

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学校だからできること/学校だからできないこと――横浜レインボーフェスタ2015「大学生ディスカッション」

前回の記事に引き続き、「横浜レインボーフェスタ LGBT2015」についてのレポートです。

(イベント全体の様子については、ハフィントンポストに掲載されていたこちらの記事などをご覧ください。)

 

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「横浜レインボーフェスタ」では、1日目と2日目に、大学のセクシュアルマイノリティー・サークルによる「大学生ディスカッション」が行われていました。

2日目の「大学生ディスカッション」については、毎日新聞にもとりあげられていて、どのような話題でディスカッションが行われたのかを知ることができます。

また、当日参加されていた文教大学セクシャルマイノリティサークル「のとまる」さんが、ご自身の活動ブログで記事もアップされています。

 

★毎日新聞- LGBTフェス:大学生がセクシャルマイノリティーの現状を討論 横浜

ameblo.jp

 

あまりご存じない方も多いかもしれませんが、現在、北海道から沖縄まで、日本各地の大学にセクシュアルマイノリティの当事者やその理解者・支援者(アライアンス)の学生たちが参加する公式・非公式のサークル・学生団体が存在しています。

matome.naver.jp

 

わたしが在籍していた大学にも、在学時すでに「サークルQ」というセクシュアルマイノリティ・サークルがありましたが、あらためて調べてみたら、さらにサークルが増えていました。

毎日新聞の記事では、中央大学「mimosa」のハルキさんが「すべてのメンバーの需要に応えるのは難しいのが正直なところ。最近は、各大学にセクマイサークルが二つあることも珍しくなくて、当事者だけのサークルと、LGBTを知ってもらうための発信系のサークルが二つあることがよくある」とコメントされています。

おそらく、そういう理由で、サークルが増えたのかもしれないですね。

セクシュアルマイノリティ」「LGBT」と一口でいっても、それは、「男/女という二分法的なジェンダー観+異性愛」を違和感なく受け入れている人たち以外をざっくりまとめて呼ぶための、かなり乱暴なカテゴリーに過ぎないわけです。

先日、ハフィントンポストで「『ズッキーニ』って何?LGBTだけじゃない12の性的志向まとめてみました。」という記事がアップされていましたが、このように示されると、「セクシュアルマイノリティ」とそうでない人びとの間にある、ゆるやかなセクシュアリティのグラデュエーションが見えてくるような気がします。

そのグラデュエーションの間のどこかに位置づく人たちが、「セクシュアルマイノリティ」と呼ばれているだけに過ぎないのですよね。

www.huffingtonpost.jp

 

また、自身のジェンダーセクシュアリティをオープンにしたい度合いも多様でしょうから、そもそも、セクシュアルマイノリティであるだけで、ひとつのサークルに入らざるを得ないということ自体、無理があるのでしょう。

それぞれのニーズや目的にあわせて、セクシュアルマイノリティ・サークルが分化したり、新たに作られていった結果、大学に複数セクシュアルマイノリティ・サークルが存在している現状は、とても自然なことだと思います。

 

2日目は、ディスカッションのテーマが「大学生のセクシャルマイノリティー、アライ(支援者)ができること」であったこともあり、このようなサークルの多様性と多様なニーズへの配慮、地域との連携のありかたなどが話し合われたようでした。

 

このように2日目のディスカッションについては、新聞記事などですでにレポートがアップされているので、こちらの記事では、1日目の「大学生ディスカッション」についてご紹介したいと思います。

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「アライ系腐女子」の生きる道――横浜レインボーフェスタLGBT2015――

「横浜レインボーフェスタ LGBT2015」に参加してきました。

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【画像】横浜レインボーフェスタLGBT 2015 最速レポート - Letibee Life

【画像】横浜レインボーフェスタLGBT 2015 2日目 最速レポート - Letibee Life

 

実は、わたくし、「東京国際ゲイ&レズビアン映画祭」には何度か行ったことがあるものの、映画祭以外のLGBT系イベントに参加するのは、初めて。

 

映画祭だけに参加してきた理由は、とっても簡単!

「東京国際ゲイ&レズビアン映画祭」は、けっこう腐女子(&腐男子)フレンドリーであることを積極的に打ち出してくださっているのです。すでに10年前には公募プログラムの中で、自称・腐女子でもある渡辺直美監督による、腐女子たちの青春ストーリー『青春801あり!』を上映してくださっています

また、昨年3月には、スタッフブログの中にこんな記事も掲載してくださっていたりして、「やおい・BLは単なるファンタジーとはいえ、ゲイの皆さまへの暴力・搾取でることは重々承知しております。でも(ファンタジーとはいえ)好きだからこそ、なにかお役に立ちたいとは思ってるんです!本当です!でも、ごめんなさい!」と日々申し訳ない気持ちでいっぱいになっている、わたしのような「ごめんなさい」系腐女子の皆さんには、とてもとてもありがたい存在なのです。

「BL班」まで作ってくださるなんて・・・もはや、腐女子側としても「それでいいんですか?」と言いたくなります。映画祭のスタッフの皆さん、本当にありがとうございます。

tilgff.seesaa.net

 

一方、こちらの記事にも書かれているとおり、「BL目線の「萌え」目当てだと、失礼なんじゃないか?」という気ちは常に持っておりますので、単に映画を鑑賞するだけの映画祭はともかく、セクシュアル・マイノリティ当事者の皆さんが集まって、自分の友達・仲間を見つけたり、自分たちの生活の今後のために活動をしたりする場に参加するのは、(いくら動機そのものは、「応援・サポートするためにもっと知りたい」という気持ちであっても)よくないんじゃないか、そもそもノンケが行くのは場違いなんじゃないか・・・、と思っていたのでした。

 

そんなこんなで二の足を踏むこと、はや10年。

偶然4月から移住してきた横浜で、初のLGBTイベントが開催されるということもあり、また、一緒に行こうと声をかけてくださった方もいたので、不安な心を持ちながらも参加してみたわけですが・・・・・・なんか、わたしの不安はまったく不要だったようです。

 

まず、「ノンケが行くのは場違いなのでは?」という心配は、まったく不要だったことに、すぐ気づきました。

会場の公式グッズには、自分自身がLGBT当事者であることを示す缶バッジやシールだけでなく、自分自身がLGBTフレンドリーであること、すなわち、「アライ」(=アライアンスalliance)であることを示すグッズも並列して売られていたのです。
LGBT当事者でなくても、「アライ」としてその場に参加することができる。そういうメッセージがそこには存在しているのだなぁ、と思いました。

★NHKオンライン | 虹色 - LGBT特設サイト | 連載 | 今月のアライさん

 

そして、「LGBT当事者として悩んでいるわけでもないのに・・・」という不安も不要だったようです。考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、セクシュアル・マイノリティ当事者の皆さんも含めて、みんな、「人生に悩んでいて・・・」とか「LGBTが差別される社会を変えるために・・・」とか、そんな真面目な動機を全面に押し出して参加しているわけではありませんでした。

もちろんそういう思いをもって参加されている方もいるのだろうし、ただ楽しみに来ている人たちも多かれ少なかれ、みんなどこかにそういう気持ちはあって来ているのだと思います。

が、その場の雰囲気だけからいうと、けっこうみんな、「萌え」的欲望まるだし(?)で、自分が楽しみたいから来てます!という感じだし、実際、すごく楽しそうです。

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いつものご飯の喜び/架空のご飯の誘惑――ビブリオバトル@ゼミ

お題「秋の夜長に読みたい本」・・・ということで、先日、ゼミナールで開催した「ビブリオバトル」について報告します

 

わたしのゼミは、今年の10月からスタートしたばかり。

ゼミへの参加を希望してくれる学生たちが気になっていること、やってみたいことを聞きながら、ゼミでの活動を考えていくことにしました。

そんなかたちではじまったゼミの第1回で、ある学生が自分のアルバイト先(おそらく、塾講師)での経験から、「ビブリオバトル」についての話題を出してくれました。

他の参加者に聞いてみたところ、どうやら、「ビブリオバトル」そのものを知らない学生も多く、ほとんどの学生は経験したことがないとのこと。

「では、なにはともあれ、まずはやってみよう!」ということで、みんなで「ビブリオバトル」をやってみることにしました。

 

今回のテーマは、「食」

 

ゼミナールのLINEグループを通じて、公式ルールをみんなに知ってもらい、ほかに何か質問があればその都度、聞いてもらうことにして、それぞれ準備を進めてもらうことにしました。

そんな感じで実現した「ビブリオバトル」のなかで、学生たちが紹介してくれた本をお示ししたいと思います。

 

まずはじめに紹介してくれたのが、よしながふみきのう何食べた?(1) (モーニング KC)』。

 



よしながふみさん自身が、糸井重里さんとの対談で、「食べもので、ゲイの人がいる話」と説明されているくらい、「食」がいろいろなドラマの中心に置かれている作品。

よしながふみさんの作品の多くには、「食」が重要な役割を果たしているものが多いのですが、これはまさにその代表作といえるでしょう。

よしながふみ作品における「食」については、こちらの論考(講演会記録)で、「食とジェンダー」の視点から分析されていて、大変興味深かったです。

 

青山友子(2010)「よしながふみのマンガに見る<食>とジェンダー」『比較日本学教育研究センター研究年報』

 

そして、よしながふみ作品で「食」といえば、こちらのエッセイマンガも外せないですね。他の作品と比べて評価のわかれるところもあるようですが、「よしなが作品における「食」の意味を考えるうえでは、外せない!」と個人的には思っています。

 

 

「食」といえばこれ!…ということで、2名もの学生が紹介してくれたのが、瀬尾まい子『幸福な食卓 』。中高生におすすめする本の定番品でもあるようで、「『食』をテーマにした本」ということで、他の人からおすすめされる定番といえば、この本のようです。

人生のなかで起こるさまざまなドラマのなかで、変わらずそこにあるものとしての食卓。戻ってくるための“拠り所”としての「食」が、そこには描かれているということなのでしょう。

 

3番目に紹介された、群ようこかもめ食堂は、まさに、そういう“拠り所”としての「食」の場をつくりたい、という思いが、見の丈にあったかたちでゆっくりできあがっていく話といえるかもしれません。

心の“拠り所”としての「食」は、奇妙なかたちで、それを取り巻く人間たちの関係をつないでいきます。

次に紹介された、有川浩植物図鑑』は、そんな「食」がつくりだす、人間たちのつながりを「恋愛」としてクローズアップした作品といえるかもしれません。

 

紹介されたときには、カバー裏や口絵に描かれたたくさんの野草の写真も紹介されたりして、まさに『植物図鑑』(!)という感じがしましたが、作品そのものは、有川浩さんらしい、ちょっと変わった恋愛ストーリー。

そんな物語を、「食」という視点から紹介しれもらったことで、また違った魅力が見れたような気がしました。…そうか『植物図鑑』は「食」の話でもあったのか。

 

「これも『食』?」と言いたくなるような本の紹介といえば、最後に紹介された、上原菜穂子『獣の奏者』。

 紹介してくれた方からは、ファンタジー作品である本作の中に出てくる、架空の食べ物の魅力について語っていただきました。

リアルには存在しない食べ物であるにも関わらず、なんだかおいしそうな、架空世界の食べ物たち。どんなものだかわからないこそ、ミステリアスな魅力にあふれていて、だからこそ余計に美味しそうに感じてしまう。…そういう気持ちはだれしも持ったことがあると思います。

 

九井諒子ダンジョン飯 (ビームコミックス(ハルタ))』は、なんだかわからないけど美味しそう!…と思ってしまう、ファンタジー世界の架空の食べ物へのあくなき欲望(?)をうまく掬い取ってくれたマンガだという気がしています。

 

 

今回のビブリオバトルではご紹介するチャンスがありませんでしたが、わたしが用意していた本は、「あの物語に出てきたあの食べ物が食べてみたい!」 という、わたしたちの夢を叶えてくれるレシピ本たちでした。

 

ひとつひとつ、見るたびに新たな発見と感動があり、いずれも選びがたかったので、今回は、ご紹介するだけで済んで良かったかもしれません。

 

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なお、今回のチャンプ本は、群ようこかもめ食堂でした!

わたしも、すでに映画は観ていたものの、ご紹介を聞いていたら、映画をみてから小説を読むのもステキだなぁ、と思ってしまい、即座に紹介者の方からお借りして読んでしまいました。

映画の美しさとはまた異なる、ゆっくりとした時間の流れるステキな小説でした。

 

すてきな本をご紹介いただいた、ゼミナールの学生の皆さん、本当にありがとうございました!